とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「湯道」(ネタバレ注意)

2023-02-28 23:59:00 | 映画
ときには、頭を空っぽにして楽しめそうな作品もいいなということで、チョイス。
ザ・東宝という感じのエンターテインメント作品で、豪華な俳優たちの演技を楽しめた。

銭湯を通じた人の触れ合いの心地よさがテーマだが、多少くどいぐらいの、お笑いシーンが満載。
窪田正孝のシーンはシュールだった。

天童よしみとクリス・ハートは、デュエットシーンのためのキャスティングだったのだろう。
他の演者も、それぞれに見せ場があり、シーンにあったキャスティングが予想を裏切らず。

やっぱり、銭湯に行きたくなった。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:湯道
製作年:2023年
製作国:日本
配給:東宝
監督:鈴木雅之
主演:生田斗真
他出演者:濱田岳、橋本環奈、小日向文世、天童よしみ、クリス・ハート、戸田恵子、寺島進、厚切りジェイソン、浅野和之、笹野高史、吉行和子、ウエンツ瑛士、朝日奈央、吉田鋼太郎、窪田正孝、夏木マリ、角野卓造、柄本明
上映時間:127分


「エンパイア・オブ・ライト」(ネタバレ注意)

2023-02-26 23:50:00 | 映画
映画と映画館への愛情のつまった作品。
1980年代のイングランドの海辺の街の映画館で働く中年女性ヒラリーをオスカー女優のオリヴィア・コールマンが演じる。
不安を抱えながらの感情を抑えた演技と、感情を開放する演技のメリハリはさすがといったところ。

ヒラリーは独身で、淡々と日々をやり過ごす毎日。
過去に精神病を患っており、投薬治療を続けている。

そこに映画館の新人スタッフとしてマイケル・ウォードが演じる黒人青年スティーヴンが現れる。
スティーヴンは大学進学を希望していたものの、試験に落ちて、働くことを選んだという背景。

心優しく快活なスティーヴンにヒラリーは心惹かれ、年齢差を超えて、恋愛関係になる。
ヒラリーは幸せの絶頂にありながら、人種と年齢の二つの壁に苦悩する。

1980年代の英国は、男性社会全盛であったり、黒人差別も激しく、不景気もあり、世の中がざわついている。
そんな状況で社会的に弱い立場のヒラリーとスティーヴンが困難に立ち向かい、強く生きようとする。
二人を癒すものは、映画であり、映画館で働く仲間たちであった。

映画としては、物語に没入すればよいのだが、なぜ今、この作品を作ったかの疑問が湧く。
一つには、コロナ禍で劇場で映画を観る機会が減ってしまい、改めて、映画鑑賞の素晴らしさを訴えるということだろう。
もう一つは、多様性をもっと世の中に浸透させようということだろうか。
実際に1980年代がどうだったかというよりは、当時の困難を乗り越えて今があるものの、まだ道半ばという警鐘を鳴らしているように感じた。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:エンパイア・オブ・ライト
原題:Empire of Light
製作年:2022年
製作国:イギリス、アメリカ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:Sam Mendes
主演:Olivia Colman
他出演者:Micheal Ward、Colin Firth、Toby Jones、Crystal Clarke、Tanya Moodie
上映時間:115分


「逆転のトライアングル」(ネタバレ注意)

2023-02-25 23:59:00 | 映画
2022年の第75回カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドール受賞作品。
社会風刺は効いていたが、面白かったかは微妙であった。
正直、汚いシーンが多く、そういう笑いは求めていないのだが・・・。
大富豪も生身の人間ということを表現しているのだろうが、そんなことはわかっている。

ヤヤとカールのモデル同士のカップルが豪華客船でのクルージングに参加する。
客は大富豪ばかりで、乗組員は客に少しでもお金を払ってもらうために、とことんサービスする。
そんな船がテロリストに狙われて沈没。
無人島に流れ着いた客と乗組員は、救助を待って、生き延びようとするが、船上とは力関係が変わってしまう。

男女、人種、客と乗組員など、格差を鮮明にしつつ、逆転させるアイデアは面白かった。
状況によって、どんな能力が優先されるかが変わる。
それによって、権力構造が変わり、人間関係が変わる。

遭難生活の方が、現実の人生よりも、楽しいということが起こり得るならば、悲劇だ。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:逆転のトライアングル
原題:Triangle of Sadness
製作年:2022年
製作国:スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス
配給:ギャガ
監督:Ruben Östlund
主演:Harris Dickinson、Charlbi Dean
他出演者:Dolly de Leon、Woody Harrelson
上映時間:147分


「ワース 命の値段」(ネタバレ注意)

2023-02-24 23:59:00 | 映画
911同時多発テロの犠牲者へ補償金を分配する国家的プロジェクトに挑んだ弁護士ケン・ファインバーグの実話に基づく話。
この事件を担当するまでのケン・ファインバーグは、実直かつ品行方正な実務家といった風情で、ルールに則って、取引としてこの難題をまとめようとする。
しかし、犠牲者の個人的な事情は様々で、一律の計算式による補償額の算出や、法律に則った受取人の選定に異議が殺到する。
この難局をケン・ファインバーグと彼のスタッフがどう乗り越えたか。
ケン・ファインバーグ自身の成長物語でもある。

人間の命の平等さと、人が一生に稼ぐ金額が大きく異なることの間に立たされる話と思ったが、そうではなかった。
資本主義社会に生きている人は、全員、そんなことはわかっているのだ。
本作品で描かれているのは、個人の事情を無視して、全員を一律に処理しようとしていると受け取られたことへの反発であった。

そのことに、ケン・ファインバーグは最初は気が付かなかったが、偶然、夫の消防士を亡くした女性と面会して、気付くことになる。
答えは現場にあったのだ。
犠牲者の個別の事情を聴かない方針を転換し、極力、個人の思いを聴く方針に転換する。

犠牲者が求めていたのは、少しでも多くの補償金ではなくて、納得できる金額の補償金であり、そのために最善が尽くされているかだった。

物語を通してみると、最初からその答えにたどり着けなかったことで、議論が尽くされ、苦労して得た答えだったことが貴重だった。
その過程での、ケン・ファインバーグやスタッフの苦悩と歓喜が、エンターテインメントになっていたのが、素晴らしい。

マイケル・キートンはじめ、ベテラン俳優たちの人間味ある演技にも味があった。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:ワース 命の値段
原題:Worth
製作年:2020年
製作国:アメリカ
配給:ロングライド
監督:Sara Colangelo
主演:Michael Keaton
他出演者:Stanley Tucci、Amy Ryan、Tate Donovan、Talia Balsam、Laura Benanti、Marc Maron
上映時間:118分


「バビロン」(ネタバレ注意)

2023-02-23 23:59:00 | 映画
「ラ・ラ・ランド」(2016年公開)、「セッション」(2014年公開)のデイミアン・チャゼル監督作品。
作品中で流れる音楽もよいが、音楽そのものもストーリーに巧みに織り込んでいる。

ハリウッド映画の歴史を描いたような作品。
当時の映画業界の破天荒さだったり、撮影現場の過酷さが描かれている。
説明ではなく、巧みにシーンを組み合わせることで、時代の変化を表現する展開がよかった。

冒頭のパーティシーンが刺激的だが、その後は、地に足が着いた物語で楽しめた。
ドラッグ、同性愛や黒人差別なども織り交ぜ、3時間の長さは感じなかった。

また、大御所俳優を演じたブラッド・ピットと新人女優を演じたマーゴット・ロビーは、さすがといったところ。
脇を固める俳優たちの演技も味わい深かった。

この監督の作品は、ハッピーエンドではないところもいい。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:バビロン
原題:Babylon
製作年:2022年
製作国:アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
監督:Damien Chazelle
主演:Brad Pitt、Margot Robbie
他出演者:Diego Calva、Jean Smart、Jovan Adepo、Li Jun Li、Tobey Maguire
上映時間:189分