とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「スパイの妻 劇場版」(ネタバレ注意)

2020-11-26 23:00:00 | 映画
ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞作。
日本人が製作する第二次世界大戦を扱う映画は欧米の賞を取りやすいように思う。
日本軍を悪役にする場合は特に。

愛が本作のテーマで、愛を貫くための嘘は裏切りなのかを問うている。
ただし、嘘の裏側には、嘘を見抜いてくれることに賭けた信頼がある。

この二重構造を説得力を持って演じられる俳優はそうはいないだろう。
役の人物が持つ説得力を2時間の映画の中で、観る人に受け入れてもらうには、俳優がまとう説得力との化学反応が必要だ。

時代に飲み込まれない自由な発想を持ち続けられるかは、いつの時代も同じ。
そこは現在も問われている。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:スパイの妻 劇場版
製作年:2020年
製作国:日本
配給:ビターズ・エンド
監督:黒沢清
主演:蒼井優、高橋一生
他出演者:坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史
上映時間:115分


「ばるぼら」(ネタバレ注意)

2020-11-23 21:00:00 | 映画
なかなか難解な作品だった。
手塚治虫の漫画が原作とのことだが、読んでいないと理解できないのかもしれない。
原作が連載されたのは1970年代らしいので、現代とは感覚がずれているのかも。

ばるぼらは、稲垣吾郎演じる小説家が作品が書けなくなって生み出した幻想のように感じた。
それが狂気かと言われると、ただの現実逃避のように思える。
狂気を感じるには、書かれた小説がずば抜けていることが必要だが、それを映画で表現するのは難しい。
そこが消化不良だったように思う。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:ばるぼら
製作年:2019年
製作国:日本
配給:イオンエンターテイメント
監督:手塚眞
主演:稲垣吾郎、二階堂ふみ
他出演者:渋川清彦、石橋静河、美波、大谷亮介、片山萌美、ISSAY、渡辺えり
上映時間:100分


「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」(ネタバレ注意)

2020-11-20 23:59:00 | 映画
原作を読んでいないが、映画としては、非常にマイルド。
「R15+」ぐらいで、もっとシビアな内容でもよかったと思う。
その場合は、このキャストでは公開規模的に厳しいだろうが。

木村佳乃が怪演。これに尽きる。

「安楽死」については、立場によって、いろんな考え方があるべきと思う。
そのうえで、立場が違うと分かり合えないテーマということがよくわかった。

犯人を薄っぺらい快楽殺人者として描くのは、ある意味、簡単だと思う。
そうすることは、ぎりぎりまで追い込まれたことがない人間の独善かもしれない。
また、安易に「安楽死」を肯定するのも危険である。
この二つの視点を提供しているところがよかったが、もっと悩むぐらいの状況設定が欲しかった。
そこが大人のエンターテインメントとして物足りなかった。

人生は、自分で選ぶということが、最大の幸せなんだろう。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-
製作年:2020年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:深川栄洋
主演:綾野剛、北川景子
他出演者:岡田健史、前野朋哉、青山美郷、石黒賢、柄本明、木村佳乃
上映時間:121分


「ホテルローヤル」(ネタバレ注意)

2020-11-13 23:59:00 | 映画
釧路湿原を見渡せる場所に建つラブホテル。
閉鎖されて心霊スポットになっているのが悲しいが、「非日常」の空間に悲喜こもごものドラマがあった。

主人公は波留が演じる、ラブホテルを経営する夫婦の一人娘。
美大受験に失敗し、ホテルの女将を継ぐことになる。
ホテルの客、従業員のキャラの濃さと比べて、主人公の存在感は薄い。
半ば流されて生きているように見えたが、ホテルを閉める決断をする。

ラブホテルが一部の人にとっては「逃げ場所」になっていた。
自分のルーツを捨てて、この主人公の人生は、この先どうなるのかというところで幕切れ。

波留がラブホテルの女将というギャップで見れた作品。

北海道開拓の歴史を表現していたのだろうが、友近のシーンは必要だったのかなあ。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:ホテルローヤル
製作年:2020年
製作国:日本
配給:ファントム・フィルム
監督:武正晴
主演:波留
他出演者:松山ケンイチ、余貴美子、原扶貴子、伊藤沙莉、岡山天音、正名僕蔵、内田慈、冨手麻紗、丞威、稲葉友、和知龍範、玉田志織、斎藤歩、友近、夏川結衣、安田顕
上映時間:104分


「おらおらでひとりいぐも」(ネタバレ注意)

2020-11-08 23:59:00 | 映画
若竹千佐子の芥川賞受賞小説の映画化。
原作は読んでいないが、高齢受賞で話題になったことは覚えている。

夫に先立たれ、一人暮らしの女性が考えていることが、過去の想い出と絡めて、表現されている。
なぜか三人の男が賑やかに寄り添っており、主人公の桃子さんと岩手の方言で会話する。
濱田岳と宮藤官九郎はわかる気がするが、青木崇高が入っているのがよくわからない。

田中好子が演じる現在の桃子さんは、愛よりも自由が貴いと言う。
家族に囲まれていた過去の生活よりも今が一番充実していると言う。
もちろん子供や孫を大切に思っているが、自分の時間を楽しめている今が一番輝いていると。

これが単なる強がりではなく、心からそう思えていることに共感を覚える。
家族や友人にも、それぞれの生活があり、お互い過度に依存せず、生きるのが自然と思うのだ。
人生百年時代になり、益々そういう傾向は強くなるのではないだろうか。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:おらおらでひとりいぐも
製作年:2020年
製作国:日本
配給:アスミック・エース
監督:沖田修一
主演:田中好子
他出演者:蒼井優、東出昌大、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、田畑智子、黒田大輔、山中崇、岡山天音、三浦透子、六角精児、大方斐紗子、鷲尾真知子
上映時間:137分