とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「TATAMI」(ネタバレ注意)

2025-02-28 23:59:00 | 映画
いやあ、凄い作品だった。
女子世界柔道選手権において、イラン代表選手がイスラエル代表選手との対戦を棄権するよう国から命令される。
現実にイラン代表の男子選手に起こった実話がモデルになっているとのこと。

イラン代表のレイラはコーチのガンバリとの二人三脚で人生を賭けて、金メダルの獲得を目指していた。
家族が自国でTV中継で観戦しており、一本勝ちで初戦突破し、大いに盛り上がる。
しかし、勝ち進むと決勝でイスラエル代表選手と対戦することになることを懸念したイラン政府から棄権の命令がガンバリに伝えられる。

ガンバリから棄権するよう指示されても、無視して、レイラは準決勝まで勝ち進む。
命令を無視するレイラを止めるため、イラン政府はレイラの両親を暴行、監禁し、映像をレイラへ送りつける。
苦渋の選択を強いられるが、レイラは自らの自由と尊厳を賭けて、試合への出場を決断。
一方、レイラの夫は子供を連れて、国外脱出を図る。

目の前の対戦相手との戦いに集中できないまま劣勢に立たされるレイラ。
極限の精神状態のまま紙一重の戦いが続く。緊張感が凄い。
レイラに棄権させようと懸命に説得していたガンバリも、レイラの極限の戦いに触発され、懸命に鼓舞する。
激戦の中、ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を覆うスカーフ)を脱ぎ捨てて奮戦するレイラ。

この試合を機に、レイラとガンバリは亡命。
難民代表として競技生活を続けていくことになる。

ガンバリを演じたイラク出身の俳優であるザーラ・アミールは亡命している。
彼女にとっては、この作品こそが、自由と尊厳を賭けた戦いなのである。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:TATAMI
原題:TATAMI
製作年:2023年
製作国:アメリカ、ジョージア
配給:ミモザフィルムズ
監督:Guy Nattiv、Zar Amir
主演:Arienne Mandi
他出演者:Zar Amir、Jaime Ray Newman、Nadine Marshall
上映時間:103分


「ゆきてかへらぬ」(ネタバレ注意)

2025-02-22 23:59:00 | 映画
長谷川泰子、中原中也、小林英雄という3人の実在の人物をモデルとした三角関係を描いた話。
長谷川泰子を演じた広瀬すずの魅力に迫る作品なのだが、令和と大正のギャップなのか、しっくりこなかったところはある。
人間同士の距離感が今よりもずっと近かったということが理由の一つだと思う。

いずれにしろ完璧な人間はいないし、完璧な人間関係もないということだと思うが、時代が今よりもスローで寛容だったことを一番感じた。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:ゆきてかへらぬ
製作年:2025年
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
監督:根岸吉太郎
主演:広瀬すず
他出演者:木戸大聖、岡田将生、田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
上映時間:128分


「ショウタイムセブン」(ネタバレ注意)

2025-02-22 23:50:00 | 映画
阿部寛が野心家のニュースキャスターを熱演。
ラジオやニュースの番組の裏側が見えたところも面白かった。

犯人に肩入れしたくなる気持ちが出てくるのは、昨今のTV業界の報道姿勢に対する疑念のせいかもしれない。
放送業界は免許事業なので、国ににらまれると立ちいかなくなるのは構造上は自明であるが。

命を懸けて、真実を明らかにしていくことで、落ちぶれたニュースキャスターが生き返るという展開が凄い。
自分をネタにして視聴者の関心を引くという捨て身の心理状態の阿部寛の演技が研ぎ澄まされていた。

続編を作るとすれば、YouTuberに転じて、更に大事件に切り込んでいくとかだろうか。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:ショウタイムセブン
製作年:2025年
製作国:日本
配給:松竹、アスミック・エース
監督:渡辺一貴
主演:阿部寛
他出演者:竜星涼、生見愛瑠、前原瑞樹、平原テツ、内山昂輝、安藤玉恵、平田満、井川遥、錦戸亮、吉田鋼太郎
上映時間:98分


「劇場版『トリリオンゲーム』」(ネタバレ注意)

2025-02-15 23:59:00 | 映画
目黒蓮主演で2023年にTBSで放送されたTVドラマの映画化。

目黒蓮が演じる破天荒で人たらしのハルと、佐野勇斗が演じる心優しい凄腕エンジニアのガクがビジネスの世界で成り上がる。
二人が起業した会社の名前が「トリリオンゲーム」。

日本でも計画されている統合型リゾート(IR)ビジネスを先取りした内容。
作品の舞台は瀬戸内海の架空の島。
マカオのカジノ王と協業してカジノをオープンしたが、策謀にはめられてカジノ事業を乗っ取られてしまう。

ハルとガクはすべてをかけた勝負に挑み、一発逆転という内容。

ストーリーうんぬんよりも、ハルを演じる目黒蓮がかっこよすぎる。
現実にはこんなやつはいないだろうと思いつつ、見惚れてしまう。

続編もありそうで、目黒蓮の当たり役になりそうで楽しみ。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:劇場版『トリリオンゲーム』
製作年:2025年
製作国:日本
配給:東宝
監督:村尾嘉昭
主演:目黒蓮
他出演者:佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、鈴木浩介、竹財輝之助、あかせあかり、原嘉孝、津田健次郎、シシド・カフカ、田辺誠一、石橋凌、吉川晃司、國村隼
上映時間:118分


坂本龍一 音を視る 時を聴く(東京都現代美術館)

2025-02-15 23:50:00 | 美術館
東京都現代美術館にて、坂本龍一 音を視る 時を聴くを鑑賞。
土曜日の午前ということもあり、会場はとても混雑しており、客層も多国籍であり、年齢層も幅広かった。

坂本龍一といえば、YMO(Yellow Magic Orchestra)の楽曲や「戦場のメリークリスマス」、「ラストエンペラー」などの映画音楽が思い浮かぶ。
この展覧会では、時間と空間と音の連関を表現した作品が並ぶ。

時間に対する人間の感覚が一定ではなく、人間の主観によって100年が長く感じたり短く感じたりといった「主観時間」に芸術性を見出していたのではないか。
その時間に対して、音がどう関わってくるのか、音も一定ではなく、空間と絡み合いながら変化していく。
時間、空間、音の三要素を再現する手段として、映像を捉えていたのだろう。

結局、巡り巡って、人間の日常生活を自由に過ごすことに返ってきているのかなとも感じた。



霧の彫刻