とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「リチャード・ジュエル」(ネタバレ注意)

2020-01-30 22:00:00 | 映画
この映画のテーマは、日本人の立ち位置からみると、悪いアメリカと良いアメリカ。
冤罪事件は過去に日本でも起こっているが、捜査の初動段階で、
弁護士がついて、被疑者と一緒に闘う例は少ないのではないか。

残念ながら、マスコミが自分たちの利益のために、
一個人をバッシングする事件は今も起こっているが。

クリント・イーストウッド監督が凄いと思ったのは、
「リチャード・ジュエル」をただの善人ではなく、
彼の独りよがりの正義感であったり、ちょっと小狡いところや
望む職に就けていないコンプレックスも含めて描いているところだ。

だたそういう不完全で弱い人間であっても
「人々を守りたい」という純粋な気持ちを持っていたことは間違いなく、
その発露として爆弾テロ事件の被害を最小限に食い止めたことはすばらしい。

杜撰な操作で犯人に仕立てようとしたFBIや、
FBIの捜査情報を都合よく脚色して垂れ流すマスコミの悪質さは目を覆いたくなるが、
こういうことは油断すると、いつでも起こりうる。
そのことが今の時代性にフィットしているからこその感動だろう。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:リチャード・ジュエル
原題:RICHARD JEWELL
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:Clint Eastwood
主演:Paul Walter Hauser
他出演者:Sam Rockwell、Kathy Bates、Jon Hamm、Olivia Wilde
上映時間:131分


「ラストレター」(ネタバレ注意)

2020-01-24 23:50:00 | 映画
岩井俊二監督作品。
いろんなところに微妙に違和感があるところも含めていい。

最大の魅力は、広瀬すずと森七菜が姉妹から従兄妹と時代を経て、一人二役を演じているところ。
松たか子が出ていると、サスペンスかと思ったが、コメディーであり、ファンタジー。

細かいことを言えば、筆跡で同一人物から来た手紙かどうかはわかる。
20年で人間の外見は変わるが、誰かわからなくなるほど変わる人は稀だと思う。

福山雅治が、福山雅治らしくない役を演じるところが新鮮だった。
神木隆之介が、神木隆之介らしい役を演じるところは微笑ましい。

結局、裕里が一番、幸せになっているところが、人生ってそういうところあるなあと思えた。

点数は、10点(10点満点)。

タイトル:ラストレター
製作年:2020年
製作国:日本
配給:東宝
監督:岩井俊二
主演:松たか子
他出演者:広瀬すず、庵野秀明、森七菜、小室等、水越けいこ、木内みどり、鈴木慶一、豊川悦司、中山美穂、神木隆之介、福山雅治
上映時間:120分


「フォードvsフェラーリ」(ネタバレ注意)

2020-01-22 23:59:00 | 映画
タイトル通り、ル・マン24時間耐久レースで常勝のフェラーリを負かすという仕事をフォードから請け負った男の話。
フェラーリに勝つことも簡単ではないが、フォードという巨大組織内部からの横槍の方が精神的に辛い。

これは普通のサラリーマンにも通じる話で、マーケットと上司のどちらの評価が大事かという問題だ。
上司の顔は立てつつも、目の前の敵に勝つには、イエスマンでは成果は出せない。
なので、とても楽しめた。

クリスチャン・ベイルが演じるケン・マイルズから教えられたのは、
燻っているときは、自分でも何がやりたいかわからないことだ。
日々の生活に流される中で、自分が何がやりたいかよりも、
自分に何ができるかに目を向けたことが成功への道だったのではないか。

自分の個性であり、能力を見出してくれる存在との出会いの重要性を感じた。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:フォードvsフェラーリ
原題:Ford v Ferrari
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:20世紀フォックス映画
監督:James Mangold
主演:Matt Damon
他出演者:Christian Bale、Tracy Letts、Jon Bernthal、Josh Lucas、Caitriona Balfe、Noah Jupe
上映時間:153分


ハプスブルク展(国立西洋美術館)

2020-01-22 23:30:00 | 美術館
国立西洋美術館で開催のハプスブルク展を鑑賞。
ハプスブルク家が建造し、1891年に開館したウィーン美術史美術館の所蔵品からの展示。

その時代の名品、名画の収集もさることながら、肖像画の人物たちの容姿や服装に目を奪われる。
「薄い青のドレスの皇妃エリザベト(1837-1898)」の蜂腰の細さは本当だったのか気になって仕方ない。

絵画以外では甲冑が迫力があった。
着用すると重くて動けないと思ったが、武術は王の務めだったのだろう。
実際に王様が前線で戦闘することはないだろうから、あくまでも鍛錬の道具なのだろう。

こういう展示をみると、近代以降の芸術家の作品は、経済的に成功した市民(資本家)が所有していることが多いが、
長い時代を経て、芸術の民主化が進んできたことを感じざるを得ない。


「ダウントン・アビー」(ネタバレ注意)

2020-01-20 23:59:00 | 映画
大ヒットしたイギリスのTVドラマの映画化。
映画の本編が始まる前に、登場人物の紹介があって助かった。
主人公のクローリー家の家族関係が複雑で観終わってから、復習して、ようやくわかった。

時代の変化の中で、貴族としての生活を守るための葛藤が描かれており、
観ている側は、それが長くは続かないことも知っている。
いわゆる、「滅びの美学」だ。

今回のエピソードは、イギリス国王が「ダウントン・アビー」を訪れることで起きるドタバタ劇。
基本的にはコメディーだが、たまにシリアスな事件が起こり、はらはらもする。

女性の社会進出や働き方改革、LGBTもぶっこんできて、現代の社会問題をみているよう。
100年ぐらい前を舞台としているが、古く感じないところが受けているのだろうか。

過去のTVシリーズのプロモーション的な意味合いの作品と思うが、
続きが観たくなったので、続編があるかもしれない。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:ダウントン・アビー
原題:Downton Abbey
製作年:2019年
製作国:イギリス、アメリカ
配給:東宝東和
監督:Michael Engler
主演:Hugh Bonneville、Michelle Dockery
他出演者:Maggie Smith、Elizabeth McGovern、Laura Carmichael、Allen Leech、Penelope Wilton、Imelda Staunton、Jim Carter、Phyllis Logan、Brendan Coyle、Joanne Froggatt、Rob James-Collier、Kevin Doyle、Michael Fox、Lesley Nicol、Sophie McShera
上映時間:122分