とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「侍タイムスリッパ―」(ネタバレ注意)

2024-10-31 23:59:00 | 映画
幕末の京都で会津藩士の侍が雷に打たれて、現代の時代劇撮影所にタイムスリップする話。
侍は時代劇の「斬られ役」として生きていく。

コメディだが、時代劇へのリスペクトに溢れる感動作。
安田淳一監督が私財を投じて製作したインディーズ作品だが、異例のヒット。

山口馬木也が演じる会津藩士、高坂新左衛門のひたむきさに心打たれる。
必死に生きる人の美しさに感動するのだろう。
この必死さの一部は、低予算の現場のごたごたがもたらしたものかもしれない。

殺陣のシーンが何度も出てくるが、竹光だとやはり軽く見える。
それを真剣に見せる技術であったり、血糊であったり、時代劇の面白さも味わえる。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:侍タイムスリッパ―
製作年:2023年
製作国:日本
配給:未来映画社
監督:安田淳一
主演:山口馬木也
他出演者:冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、紅萬子、福田善晴、井上肇、田村ツトム、安藤彰則、庄野﨑謙
上映時間:131分


「室井慎次 敗れざる者」(ネタバレ注意)

2024-10-19 23:59:00 | 映画
「踊る大捜査線」シリーズから室井管理官のその後を描くスピンオフ。
「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が公開されたのは2003年。
20年以上が経って、登場人物たちがどう変わっていったのか。
この間の世の中の流れや視聴者の変化に合わせて、どう物語を作っていったのか。
期待と興味を持って、映画館へ。

昔のドラマでは、約束は必ず果たされるものだった気がするが、室井と青島の約束は果たされず、警察組織は旧態依然としたまま。
失意のうちに室井は警察を退職。
青島や湾岸署の面々との縁も切れてしまっているよう。
秋田の山奥に移住し、犯罪の被害にあった子供を里親として育てる日々。

こんな将来が20年前に想像できただろうか。
しかし、室井の誠実な人柄は変わらず、子供たちに愛情を注いで、1日1日を丁寧に生きている。
田舎の閉鎖的な社会にスポットを当てるなど、今の社会の問題にも向き合おうとしている。

これだけで満足なのだが、秋田の山奥にも犯罪の影が忍び寄る。
事件の謎解きは後編に続く。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:室井慎次 敗れざる者
製作年:2024年
製作国:日本
配給:東宝
監督:本広克行
主演:柳葉敏郎
他出演者:福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、松下洸平、矢本悠馬、丹生明里、松本岳、西村直人、真矢みき、筧利夫、飯島直子、小沢仁志、木場勝己、加藤浩次、稲森いずみ、いしだあゆみ
上映時間:115分


「あんのこと」(ネタバレ注意)

2024-10-19 23:50:00 | 映画
今旬の女優、河合優実主演作品。
河合優実が麻薬、売春の常習者で何とか更生しようとする21歳の女性、杏を演じる。
杏は母と祖母の3人暮らしだが、母親から売春を強要されるなど最悪な家庭環境。
杏に救いの手を差しのべる刑事、多々羅を佐藤二朗が演じる。
杏と多々羅を取材する雑誌記者、桐野を稲垣吾郎が演じる。

母親から離れ、杏が介護施設で働き、慣れた頃にコロナが発生し、休職に追い込まれてしまう。
追い打ちをかけるように、桐野のリーク記事を契機に多々羅の不祥事が発覚し、杏は行き場がなくなる。
執念深い母親に見つけ出された杏はどこへ行くのか。

はみ出し刑事の多々羅の表と裏。
スクープを狙って多々羅に近づいた桐野。
世界には優しさもあれば罠もある。
多々羅の二面性が人間の本質のようにも思える。
桐野の正義感に救われた人がいれば、杏を追い詰めたことも否定できない。

コロナを分岐点に杏の人生は破滅に向かう。

この作品がどこかにいるかもしれない杏のような人に届いて、救いになって欲しい。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:あんのこと
製作年:2024年
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
監督:入江悠
主演:河合優実
他出演者:佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり
上映時間:114分


「Cloud クラウド」(ネタバレ注意)

2024-10-13 23:59:00 | 映画
黒沢清監督作品。

菅田将暉が主人公の転売ヤー、吉井を演じる。
吉井は転売ヤーとして成り上がることを決意し、工場勤務を辞める。
買い叩いて仕入れた商品を高値で売ったり、有名ブランドの模造品を二束三文で売りさばいたり、転売ヤーも楽ではない。
しかも、自分が無自覚なまま、他人から恨まれており、命を狙われる危機に陥る。

転売ヤーとしては真面目に働いていた吉井が命の危険を経験することで、筋金入りのアウトローに落ちていく。
その変化を菅田将暉が自然に演じている。

人の尊厳を踏みにじっていると相手に誤解されるような行動は慎むべきだ。
同じことを伝えるのに言い方だけで相手の受け取り方は全然変わってくる。
とはいえ、SNSの誹謗中傷のようにターゲットを常に狙っているようなものもあり、目立つことが悪のような部分もある。

吉井の恋人役を古川琴音が怪しく演じている。
吉井の助手、佐野を奥平大兼が頼もしく演じている。

二人の素性が不明だが、吉井目線では謎のままでいいのだろう。
世の中、理由はよくわからなくても、敵もいれば、味方もいるということで。

金に縛られて生きるのもよし。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:Cloud クラウド
製作年:2024年
製作国:日本
配給:東京テアトル、日活
監督:黒沢清
主演:菅田将暉
他出演者:古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝
上映時間:123分


「リバー、流れないでよ」(ネタバレ注意)

2024-10-06 23:59:00 | 映画
京都の貴船の旅館を舞台としたタイムループコメディー。
なぜか2分間のタイムループが何度も続く。
2分経つと同じ場所に戻っているが、人間の記憶は前に起こったことを憶えているという設定。

時間が進まないという非日常の世界に放り込まれると人間はどういう行動を取るか。
何が起こっても2分きっかりで元の場所に戻るのだが、そんな状況に慣れていくのが面白い。

非日常の体験をすると日常の有難味がわかるというのは、旅行から戻ってきたとき家が一番落ち着くのと同じだろうか。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:リバー、流れないでよ
製作年:2023年
製作国:日本
配給:トリウッド
監督:山口淳太
主演:藤谷理子
他出演者:永野宗典、角田貴志、酒井善史、諏訪雅、石田剛太、中川晴樹、土佐和成、鳥越裕貴、早織、久保史緒里、本上まなみ、近藤芳正
上映時間:86分