とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「敵」(ネタバレ注意)

2025-02-10 23:59:00 | 映画
吉田大八監督作品。
主役のフランス文学の元大学教授に長塚京三。
妻に先立たれ、子供もなく、都心の一軒家で、悠々自適の一人暮らし。
毎日のルーティーンを丁寧に過ごしている。
自炊する食事シーンは食欲をそそられる。
長生きするために切り詰めた生活をする気はなく、金が尽きれば尊厳死を望んでいることを口にしている。

教え子や昔からの仲間との付き合いもあり、充実していた生活が「敵」という言葉を意識し始めてから崩れ始める。
妄想と夢と現実が混じり合って精神的に追い詰められていく。

性と生への執着が幻想を呼び起こしているのだと思うが、無意識であろうが、抗おうとするほどに制御が効かなくなる。
「老いること」を理屈では受け容れていても、反発する部分が残っているが故のせめぎ合い。

主人公がどういう死に方をしたのかは描かれていないが、死んだことを認めていないとでもいうようなエンディング。
なかなか達観することはできないものなのだろう。
それもまた人間らしさだ。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:
製作年:2024年
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ、ギークピクチュアズ
監督:吉田大八
主演:長塚京三
他出演者:瀧内公美、黒沢あすか、河合優実、松尾諭、松尾貴史
上映時間:108分