とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「検察側の罪人」(ねたばれ注意)

2018-09-14 23:00:00 | 映画
木村拓哉と二宮和也の競演。
二宮和也が演じた若手検事の沖野はわかりやすいキャラクターだったが、
木村拓哉が演じたベテラン検事の最上は人間として何を目指しているかがよくわからなかった。

自分の愛していた人を殺めた人間を冤罪で死刑にしようとしている一方で、別の殺人犯は自らの手で殺してしまう。
親友に検察の捜査情報をリークしており、職業倫理に反する行為を自らの信念に基づいて行っている。
よくいえば「清濁併せ吞む」人物とも取れるが、独善的で暴走する危険性を孕んでいる。

また、よくわからないのが最上の家庭の状況だ。
子持ちの女性と周囲の反対を押し切って結婚したという設定だが、生活感がまったく感じられない。

映画なので、フィクションだから、リアリティーは必ずしも必要ではない。
最上が何を「正義」と考えていたのか。
祖父がインパール作戦に従軍して生き残ったことがどう関係しているのか。

「国家を疑え」というだけではメッセージとしては弱く、
何を信じるか、どういう世界を作りたいかの部分をもっと知りたいと思った。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:検察側の罪人
製作年:2018年
製作国:日本
配給:東宝
監督:原田眞人
主演:木村拓哉、二宮和也
他出演者:吉高由里子、平岳大、八嶋智人、大倉孝二、音尾琢真、谷田歩、酒匂芳、芦名星、松重豊、山崎努
上映時間:123分


「きみの鳥はうたえる」(ねたばれ注意)

2018-09-12 23:59:00 | 映画
新宿武蔵野館にて、「きみの鳥はうたえる」を鑑賞。

カタルシスのない日常。
自己肯定感のない若者の人生はどこへ行きつくのだろうか。
函館の夏の風景は日差しもぎらついておらず、夜との境目もはっきりしない。
そんな日常が壊れそうになるところで作品は終わる。

相手を縛らない人間関係は楽ではあるが、そこに満足できないのが人間の性である。
どろどろを受け容れて生きていくことも、またよし。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:きみの鳥はうたえる
製作年:2018年
製作国:日本
配給:コピアポア・フィルム、函館シネマアイリス
監督:三宅唱
主演:柄本佑、石橋静河、染谷将太
他出演者:足立智充、山本亜依、柴田貴哉、水間ロン、渡辺真起子、萩原聖人
上映時間:106分


「寝ても覚めても」(ねたばれ注意)

2018-09-01 23:59:00 | 映画
男女が別れる場合、相手が嫌いで別れるときと、相手を好きなまま別れるときがある。
顔でも体格でも名前でも出身地でも、前に付き合っていた相手との共通点があると
何かしらの嫌悪感、あるいは安心感があるかもしれない。
経験が浅い場合は、そういったものに縛られることもあるだろう。
すべてはきっかけに過ぎないと言ってしまえば、身も蓋もないが。

この作品の面白いところは、ヒロインが自分の心に素直というか、あまりにも純真で、
それが悪魔的でさえあるが、憎めないところだ。

亮平はリアリストだと思うが、「一生信用できない」と感じている女性と結婚しようとしている。
信用できないけれど愛しているということがあるのだ。
そのどうしようもなさを受け容れる覚悟こそが人生でもある。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:寝ても覚めても
製作年:2018年
製作国:日本、フランス
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス
監督:濱口竜介
主演:東出昌大、唐田えりか
他出演者:瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、仲本工事、田中美佐子
上映時間:119分