とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

シュルレアリスムと日本(板橋区立美術館)

2024-04-07 22:00:00 | 美術館
板橋区立美術館にて、『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本 を鑑賞。

1924年、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して100年。
日本のシュルレアリスムの歩みを振り返る展示。

正直、これといった核になる作品はなかったのかなと思いつつ、日本にシュルレアリスムはなじまなかったように感じた。
ダリのように強烈な個性の芸術家が登場する前に、第二次世界大戦が始まり、危険思想視されたことで、停滞することになる。

ただ、非現実的なモチーフやナンセンスの思想は、漫画につながっていったのかなと思う。

欧米中心の世界の辺境にあって、激動する世界の動きを取り込もうとした気概は存分に感じた。


「オッペンハイマー」(ネタバレ注意)

2024-04-06 23:59:00 | 映画
「原爆の父」といわれる物理学者オッペンハイマーの栄光と苦悩の物語。
こういう世界を動かした人物の思想に深く入り込むのは、米国映画ならではだ。
いわゆる等身大の物語が多い日本映画とは趣が異なる。

崇高さと下世話さの入り混じる人間存在の不可思議さをそのまま表現しているところが興味深い。
ナチスとの原爆開発競争という大義名分があったとき、オッペンハイマーに迷いはなかったが、ナチス打倒後、政治に翻弄されていく。
原爆を作る責任と使う責任は、使う責任の方が重いことはわかっていても、作らないと使えないのは事実だ。
原爆使用の判断を政治家に任せてよかったのか、という後悔がオッペンハイマーにのしかかる。
それは米国の軍事力の脅威を他国に見せつけて、終戦後の世界戦略を進めやすくするために多くの人の命を奪うことに加担した後悔だ。

アインシュタインが、原爆の使用は間違いでも、愛国心は間違いではないと言う。
人間は結局、自分のまわりの人を幸せにすることでしか、幸福感を感じられないのだろうか。

核兵器が存在する世の中になり、長崎以降は実戦で使われることはなく、世界は平和になったと言える部分もあるのかもしれない。

同じようなことは、AIや遺伝子操作などの科学技術にも、当てはまるのだろう。

技術に罪はない。
使う側の倫理観次第で、天使にも悪魔にもなる。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:オッペンハイマー
原題:Oppenheimer
製作年:2023年
製作国:アメリカ
配給:ビターズ・エンド
監督:Christopher Nolan
主演:Cillian Murphy
他出演者:Emily Blunt、Matt Damon、Robert Downey Jr.、Florence Pugh、Josh Hartnett、Casey Affleck、Rami Malek、Kenneth Branagh
上映時間:180分