天皇陛下が喜寿を迎えられた23日、TVでは陛下の幾分ふっくらされた御尊顔や今も楽しんでおられるテニス風景などが紹介されていた。中でも眼を惹いたのが御料車。皇室専用の列車だ。菊の御紋が飾られて、当時の最高の工芸家が精緻を込めた内装を施していて、その芸術的価値は計り知れないほどだ。明治大正期に十数輌製作されたらしいが、初号機は何と明治9年と云うから驚く。竜馬が暗殺されてから10年も経ていないのだ。すさまじいほどの文明開化の波が押し寄せた時代だと改めて感じる。
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この日、北九州は12月にしてはまとまった雨をもたらした低気圧が足早に東に抜け、朝からぽかぽか陽気の快晴だった。この前線の影響で東北・北海道はまたもや大雪に見舞われていると報道されていた。TVのニュースを見ながら、朝早く起きて懸命に雪掻きをしている北国のか弱き女性たちに思いを馳せたりもした。
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さて、この日はピアノ講師である長女が仲間二人と組んでのクリスマスコンサートだった。会場は小倉の中心にあるリバーウオーク内の北九州芸術劇場小ホール。130席弱のホールだが、感じが良くミニコンサートなどで利用されていて評判が良いようだ。長女もここで何度か出場した事がある。
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開場の2時少し前に私達は到着した。大勢の人ではあったが、和君と奏君が素早く私たちを見つけて笑顔で迎えてくれた。二人とも白いシャツにベスト、短パンとミニ貴公子だ。リハーサルのために、会場には早く来ていたのだ。和パパの御両親、姉家族もニコニコ顔で和君の初演奏を楽しみにしている。孫二人はいつも以上に落ち着きが無く、興奮していた。何しろ二人とも初の経験なのだから。ジジババたちも孫以上に興奮していたかもしれない。私たちにも初の経験なのだから。
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<o:p> </o:p>定刻になって、超満員のなかコンサートが始まった。プログラムによると年齢順に出演するので奏君が2番目、和君が4番目だ。最初の女の子が弾き終わると、奏君が出てきた。リハーサルでは弾くのをためらっていたそうだが、大きなミスもなく無事に「ペンギンのおやこ」を弾き終えた。終わった瞬間、観客席の方を「終わったぁ!」と眺めたので会場も一気に緊張が解けた。やはり奏君らしい。
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7ヶ月年上の和君は2曲弾いた。最初が独奏で「つなひきぞうさん」。続いて連弾で「飛べ、宇宙船」、軽快な曲で、もちろんメロディが和君。ママが弾くリズムに見事に合わせて弾ききったのだから、もう私たちは感激いっぱい。終わってきちんと礼も出来ました。日ごろの練習の成果がでたようです。
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コンサートが終わったのが5時。孫達はそれぞれのファミリーで打ち上げをするので私たちは孫達と別れた。薄暗くなりかけた紫川の畔は様々なイルミネーションが溢れて、クリスマスを楽しむ人たちで賑わっていた。そんな中で目を惹いたのが「ハグ」のサークル。若い男女数人がハグを自由に、と呼びかけているのだった。思わず私もハグを!と引き寄せられそうになったが、わずかに理性が残っていた。私と入れ違いに小学生くらいの女の子が美人の女性にハグしてもらったのだが、私の代わりだ、と納得してその場を離れた。
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夕食に天婦羅を食べた。気分が高揚していたので、フランス料理や地中海料理のフルコースでワインも味わいたいと思ったのだが、残念な事に私は小倉のそういう店を知らない。毎度の事ながら、天婦羅専門の店に入りビールを飲んだ。妻は焼き鳥でも良かったというのだが、街中のこじんまりした店に縁が無いのが残念だ。勤務地が遠いので地元の街は不如意なのも何だか寂しい。
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