愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

愛人であり、恋人であり…

2011-10-06 22:26:27 | シェラとルイの日々


☆油断のできないルイ 
 脱力したようにして倒れたシェラに大事はなくてひと安心できたものの、シェラと新入りのルイとの関係が解決できたわけではない悩みが残った。
 シェラがルイを受け容れないまま一週間を迎えようとしている。ぼくたちが想像した以上にうまく運ばないシェラとルイの関係に胸を痛めていた。
 
 ルイがリビングルームの一隅に置いたケージの中にいるというだけで、シェラはリビングに入ってこない。以前は開け放ったベランダの前で外気を感じながらのんびり寝ていたいうのに、いまは寝室や玄関付近からこようとしないのである。
 シェラの姿を見るとルイが吠えるのがいやなのだ。キッチンの前にある水の入った容器のところまでくるのさえ、ルイから見える位置なのでひと騒動である。
 
 ルイもわが家に慣れたのだろう、だいぶおとなしくなってきて、会社から戻ったぼくがいてもケージから出してくれとせがむ頻度が減った。日々、聞き分けのいいわんこになっているが、いつまた豹変するか油断できない。なんせ、ケージの中であまりにおとなしくしているので、体調でも崩したのかと心配になってケージから出すと、たちまちやんちゃなわんこに変わってしまうからだ。

☆シェラよ、何を見ているのだ? 
 今日は、いつもより早めに帰れたので、夕食後、おとなしくしているルイをケージから出して遊んでやった。奥の部屋に避難していたシェラが顔を出してぼくとルイが綱引き遊びをしているのを眺めていた。 
 そんなシェラに気づいたルイは大喜び。シェラの許へかっとんでいった。たちまち、シェラに吠えつかれ、また全力疾走でリビングへ戻り、ひと回り走ると再びシェラの許へ……。そして、むろん、また吠えられられる。
 ルイにしてみればなんとも楽しい遊びだが、やられるシェラにとってはたまったもんじゃない。イラついているのがよくわかる。ただの威嚇ではなく、だんだん本気で怒りだした。

 適当なところでルイを捕まえ、ケージに収めると、シェラがそっとやってきてたっぷりと水を飲んだ。ルイとぼくの遊ぶ姿を見ていたわけではなく、水が飲みたくてのぞいていたようだ。気の毒なことをしてしまった。


 しかし、ぼくはもう悩んではいなかった。
 今日、いただいているジュリーさんとREONAさんのコメントのおかげである。レスコメにも書いたが、これからのち、シェラが寝てばかりの刺激のない生活よりもチビを怒ることで元気が湧いてくれば、それが生きる活力になってくれるだろうから。それを教えてくださったジュリーさんのコメントだった。
 REONAさんの「食べること=生きること」というフレーズも、ぼくの心に安心を植えつけてくれた。この食欲こそがシェラの生きる意欲の表れだと気づかせていただいた。

☆かけがえのないぼくのシェラ 
 この駄文を書くに当たり、自分の部屋へ入るために寝室の横を通った。ベッドの上でシェラが寝ていた(写真=上)。ぼくは寝ているシェラの横に座り、しばらく身体をやさしく撫でてやった。
 頬に自分の頬を重ね、「愛してるよ」といった。ぼくにとって、シェラは16年前に出逢ったときからずっと愛人のような存在のままである。「愛してる」という歯の浮くような言葉をごく自然に囁ける。
 
 むぎは恋人のような存在だった。抱きしめる度に、「なんて可愛いんだ」といってきた。数えきれないほど、抱きしめ、「世界一可愛い子だ」といってきた。
 男の子のルイに対しては、愛人や恋人のような感情を抱けるないという寂しさがある。それでも、頼もしい子になってくれることだろう。 


いつもと変わらぬ日常

2011-10-05 22:42:43 | シェラの日々

☆家人が落ち着いていた理由
 昨日はずっとケータイがいつ鳴るかに怯えて過ごした。幸いにして、ただでさえめったに鳴らないぼくのケータイは、昨日もずっと沈黙したままだった。
 むしろ、ぼくのほうから、朝、会社の最寄り駅に着いたところで家人に電話をしてシェラの様子を確認した。夕方は、出先の会議が終わったところでもう一度電話をしてこれから直帰するのとシェラを病院へ連れて行くので仕度をしておいてほしいと連絡していた。

 午後7時に家に帰り着き、夕飯はあとまわしにして午後8時まで診療してくれるいきつけの動物病院へクルマを走らせた。
 助手席の家人から夕方の散歩はいつもどおりだったという話を聞きながら、彼女に朝の様子をもう一度話して聞かせた。朝からずっと落ち着き払っていた家人が動揺した。

 「ええ~~~っ、そんな深刻な状態だったの!?」
 ぼくの「シェラが倒れた」という言葉を、彼女はシェラが転んだくらいにしか受け止めていなかったという。抱きかかえて戻ったシェラの呼吸はたしかに荒かったが、彼女の目にはすぐに鎮まったように見えたらしい。
 「それだったら、朝、病院にいけばよかった」

 もし、シェラの様子が彼女に正確に伝わっていたら、きっとぼくは会社へいかれなかったかもしれない。強引に会社へ出ていたら、かけつけてきたせがれは病院まで運転させられていたはずだ。
 クルマが目的の動物病院へ近づく中、家人の言葉はたちまち悲観的な色合いに変わっていった。

☆まさかの結果
 心電図検査、血液検査、レントゲン検査をやることになった。遅い時間にもかかわらずそれらをやってもらえるのがありがたかった。
 検査に20分ほどかかったろうか。シェラが奥の診療検査室から出てきて、「結果が出るまで15分ほどかかります」ということでさらに待つことになった。時間は午後8時を過ぎている。
 先生たちには申し訳ないが、これでシェラの倒れた原因が特定できれば、あとの対策も立てられる。恐縮しながら感謝していた。

 結果はあっけないものだった。
 心電図は、この検査の範囲内ではまったく異常なし。血液検査もほぼ正常。レントゲン検査でも、特に脳や心臓を圧迫したりしている腫瘍などは見当たらない。
 ただ、喉にある腫瘍が大きくなっているので、これは今後観察しながら、適時、小さくするための薬の投与も考えることになった。

 結局、倒れた原因は特定できなかったが、「てんかん」の可能性が残った。人間だと若いころに出やすいてんかんも、イヌは老犬によくみられるという。
 「しばらく様子を見ましょう」というのが結論だった。
 「もし、今度、倒れたら、その様子をケータイのムービーで撮影して見せてください。その状態から倒れる原因を推測できますから……」
 つまりは、倒れても命に別条ない可能性が高いという意味であろう。


☆以前どおりの日常がうれしい
 とりたてて薬もなく、そのままシェラを連れ、空き腹を抱えて家路をたどるわれわれの気持ちは安堵に満ちていた。朝から張りつめていた緊張が一気にほぐれていた。
 家に独り置き去りにできないからとショップでもらった段ボール箱に入れて連れて行ったルイが後部席のシェラの横で激しく吠えてうるさかったが、喜びのあまりぜんぜん気にならなかった。

 家に帰り着いて遅い夕飯となった。シェラの食欲は旺盛である。ご飯を少しやると、鼻の頭にご飯粒をつけてのぞいている(写真=上)。ぼくたちは心の底から笑うことができた。
 まだ以前どおり日常がある。なんたる幸せだろう。新入りのチビ助(写真=下はシェラに怒られ、「遊んで」とぼくの足にに跳びつくルイ)に心を開こうとしないのも以前と同じだが……。
 
 そして、今日も以前どおりのシェラである。
 先ほど、家に帰り着いてすぐ、着替える前から「夜の排泄散歩」を催促され、着替えるやいなや連れ出された。朝の担当がぼく、夕方が家人、そして、夜が再びぼくという1日3回のシェラの散歩が定着しつつある。

 今日もまた、いつもと変わらぬ日常がある。

シェラが崩れるように倒れた

2011-10-04 12:58:22 | シェラの日々
☆突然、まるで崩れるように
 シェラが倒れた。
 転んだという程度ではなく、立っていたのが崩れるように倒れてしばらくは意識も遠のいてしまったはずである。

 今朝、いつものとおり散歩から帰ってきてクレートの前に立っていた。すぐわきの植え込みの中にはむぎネコがいる。ぼくが植え込みをのぞいてから、「さあ、シェラ、帰ろう」と声をかけると、後足が流れ、全身が崩れるように倒れてしまったのである。

 ふと、呼吸をしていなかったむぎを思い出す。だが、シェラは胴体を大きく弾ませて、荒い呼吸を続けていた。
 脚が折れてしまったのではないと思うくらい不自然な倒れ方だった。今朝もルイ連れだったが、幸いトートバッグに入れていた。
 
 荒く、苦しげな呼吸は一分ほどでおさまった。
 まだ、息は荒いが、なんとか動かせそうである。身体を持ち上げ、ようやくクレートの中に押し込んだ。多少足ははみ出しているが、そのままエレベーターに乗ってわが家の前に運んだ。
 
 扉を開け、大声で家人を呼びながらルイをケージに入れ、取って返すとクレートからシェラを抱え出し、家の中に運んだ。シェラがいつも使っているわんこベッドに横たえる。
 家人がパニックにならなかったのがよかった。むしろ、どちらかというと、ぼくのほうが動揺していたかもしれない。
 
 ほどなく呼吸がおさまってきた。意識はしっかりしているようだ。立ちはしないが、体を動かし、普通に伏せた姿勢になる。目の前に出してやった水を、コップ一杯ほどの量を一気に飲んだ。
 散歩から帰ってきたシェラのためにと家人が用意したばかりの餌を出すと、そのままの姿勢で食べた。食欲はあるようだ。しっかりとした様子で余さずに食べ終えた。

☆心残りの今日の予定
 「きっと心臓発作ね」
 むぎの経験が利いたのか、家人もしっかりしていた。
 餌を食べ終わると立ちあがり、テーブルの下までしっかりした足取りでやってきた。
 ぼくが朝ごはんを食べている間、足の下にうずくまってぼくの顔をじっと見つめている(写真)。
 心細そうな表情である。助けを求めているようにも見える。食事をしながらぼくは何度も手を伸ばしてシェラの頭をなでてやった。
 わき目もふらず、じっとぼくを見つめ続けるシェラの目がぼくには辛かった。

 「シェラ、ごめんよ。休んでおまえのそばにいてやりたいのはやまやまだけど、今日はどうしても会社を休めないんだ」
 ぼくはシェラに何度も言って聞かせた。ぼくが椅子から離れると、今度は家人の顔をじっと見つめている。
 
 ぼくが後ろ髪を引かれる思いで出勤の仕度を終えると、シェラはテーブルの下を離れ、ぼくに背を向けてベランダの前に移動した。引戸の敷居に顎を乗せて寝そべり、じっとしている。
 「シェラ、いってくるからね。なるべく早く帰るよ。あとでお兄ちゃんがきてくれるからな」
 背後からシェラを撫でてやる。
 もしかしたら、これがシェラとの最後の別れになるかもしれない。背後でケージの中のルイが激しく吠えた。
 
 シェラを家人に託してぼくは家を出た。
 会社の最寄り駅に着いて電話をしてみると、シェラは落ち着いて同じ場所で寝ているという。
 時間が比較的自由になる仕事のせがれもきてくれた。しばらく様子を見て、落ち着いたままなら、病院へ連れて行くのはぼくが帰ってからにするつもりでいる。
 
 シェラも16歳と10か月、人間の年齢に換算すると84歳ほどである。いつ何があってもおかしくない。むぎのおかげでその覚悟だけはできているはずなのだが……。


だれのランクが上なのか教えてやる!

2011-10-03 22:46:47 | シェラとルイの日々


☆復活した今朝のシェラ
 「シェラちゃん、歩くのがすっかり早くなりましたね。元気になってよかったわ」
 今朝、朝の散歩でときどきお会いするシェルティーのココア・ママから褒められた。ぼくも今朝のシェラの足早な動きに目を細めていた矢先だった。だが、涼しさのせいであって、新入りパピィがきたから元気になったと判断するのは早計であろう。
  
 そのシェラのご機嫌がすこぶる悪い。原因はもちろん新入りの「ルイ」(読みやすくするために「ルイ」とカタカナ表記に変更します)の存在である。苛立っているし、不貞腐れてみたいなところもある。
 今夜も、ぼくのベッドの上にいるから横に座って撫でてやりながら、少しでも覆いかぶさるような姿勢になると低く唸る。あるいは、ようやくリビングの入口まできたからというので呼んでも知らん顔で寝そべっている(写真=上)。

☆手に取るようにわかるシェラの心模様
 ぼくにはそんなシェラの気持ちがぐいぐいと伝わってくる。
 とにかく、鬱陶しい。存在そのものが邪魔くさくてならない。せっかく、静かに日々を送っていたのに、チョロチョロと目障りでならない。(たぶん)においも嫌でならない。
 だから、なるべくケージにも近づきたくない。ウザったいから、癪に障るけど離れた部屋にいて、関わることから遠ざかっていたい。 
 あのチビ助は、ときどき、ケージから出されると、真っ先にやってきて、遊ぼう、遊ぼうと飛びついてくる。「あっちへいけ!」と吠えても、逃げるくせに怖がらず、喜んで走り回ってまた飛びついてくる。あいつは小悪魔だ。
 
 シェラの気持ちはそんなところだ。
 これを書いているたったいま、ぼくの部屋へ入ってきた。のぞくことはあるが、ぼくが部屋にいるときは入ってこない。それなのに驚いたことに入ってきたのである。「父さん、あの小悪魔をなんとかしてよ」とでもいいたかったのだろうか。
 ぼくはシェラの頭を撫でながら、「少しの辛抱だからかんべんしてくれよ。そのうち、おとなしくなるからさ」といいながら詫びた。
 
 ルイが「おとなしくなる」という約束に自信はない。しかし、もう少し成長したら、序列だけはわからせてやろうと思っている。そして、自分がシェラの下位に位置する存在であることをわからせるのである。
 すでに体力が衰えているシェラが力でそれを示すのはかなり困難だろう。それなら、ボスたるぼくがルイにしっかり教えてやろうと思っている。


☆まだ外の世界が怖いルイ
 一昨日以来、ルイはすっかりわが家になじんでしまった。昨日はしばしぼくとふたりだけで過ごす時間があって、そこでぼくはルイに対してだれがボスかをキッチリ教え込んだ。
 ルイもさすがにオス犬である。シェラやむぎがパピィのころには見られなかったようなやんちゃぶりを発揮はしても、強い相手に対する服従心はかなり強い。すでにぼくへの反応は一目置いているのがわかる。
 これから、ボスのぼくはルイに対して、「おまえよりもシェラのほうが上位にあるのだ」と教え込んでやるつもりでいる。

 今朝の散歩にもルイをトートバッグに入れて連れていった。途中、きれいな道の一部で少し歩かせてみた。においを嗅ぐのに懸命になっていたシェラは、横からルイが顔を突っ込んできてびっくりしたが、吠えて追い払ったりはしなかった。

 ルイのほうも、まだ外を歩くのはおっかなびっくりで、たまたま道の悪い場所へ足を踏み入れてしまい、ぼくを見上げて助けを求めた。むろん、すぐに抱き上げてやり、ボスとしての面目躍如といったところだった。


シェラの見事な教育的指導

2011-10-02 11:49:16 | シェラとルイの日々


☆活発なのはいいけれど… 
 なんとも元気な子である。男の子と女の子の違いはあるにしても、同じコーギーながらむぎがおとなしい子だっただけにそのやんちゃぶりに目を瞠る。
 ショップの担当さんも、「元気ですよ」と何度もいっていたくらいだから、平均より活発な子なのだろう。うれしいような、怖いようなというところである。
 
 名前は、三つの候補から絞り込んだ。
 ぼくが、連れてきて顔を見たら大きな耳でしかも先が反っているのでまるで翼のように見える。たちまち、「つばさ」をエントリーした。
 家人は、先週から「るい」と決めている。意味はなく、感覚的なネーミングであり、「呼びやすい」からというもの。
 せがれは、あれこれいっていたが、推薦は「しもん」。なんだかそれなりの理由を聞いたが忘れてしまった。

☆ようやく「るい」に落ち着いて 
 この「しもん」は、ぼくの候補リストにもあった。そのリストはすべてアウトドアブランドであり、シェラがアメリカのアウトドアブランド「SIERRA DESIGNS(シェラデザインズ)」に由来するので今度の子も同じようにしたいと思っていた。
 
 SIMOND(シモン)の名は、クライマーならだれでも知っているフランス・シャモニーの登攀具メーカー。最高級のピッケルのひとつがSIMONDなので、けっこう興味はあったが、やっぱり一般的ではないしということで圏外へ。
 最終的に、呼びやすさと、今度の子が家人の強い希望でわが家の子になったことから、名前も彼女の希望を容れて「るい」に落ち着いた。
 
 るいは、ショップにいたときからシェラに興味津々だったが、シェラはいまのところるいに完全に拒否の姿勢を貫いている。目さえ合せなかった。
 るいを家に連れてきて、ケージに入れても、そのケージに寄りつかないというより、避けている。ケージのそばを通ろうとさえしない。リビングへはいかず、寝室や玄関近くの廊下で寝ている。



☆シェラの怒り爆発! 
 シェラの顔には確実に動揺と困惑と軽い怒りと寂寥が去来している。これらは想定ずみなのでわれわれも驚かない。
 夜、るいが廊下のほうからやってきたシェラにケージの中から吠えた。
 るいは尾のないお尻を振っていたが、さすがにシェラも腹に据えかねたらしく、ケージのところに寄ってきて、たしなめるような調子で何度か強く吠え、くるりと踵を返してまた玄関のほうへ去っていった。絵に描いたような「教育的指導」だった。
 
 ぼくはあとを追い、寝室に入ってしまったシェラの頭を、「よくやった」といいながら丁寧に撫でてやった。見上げたシェラの表情はいつもどおり穏やかで、安心感に満ちていた。
 夜から朝にかけても二度ばかりシェラは寝ているぼくのベッドの脇にやってきた。腕を伸ばし撫でてやると、その場にうずくまり、そこで寝てしまった。
 シェラはぼくの気持ちをよく知っている。ぼくたちはもうそういう関係なのである。 
 
 こんな繰り返しを経て、シェラもるいを仲間と認めてくれる日を迎えるのだろう。
 今朝は、るいをトートバッグに入れて散歩に出かけた。シェラからは無視されたが、いずれ並んで歩いてくれるだろう。
 このやんちゃなるいがシェラの元気を引き出してくれるようにといまはひたすら願っている。