今年はゲゲゲ年でしたねえ。
「ゲゲゲの女房」70点★★★
なーんだ向井理じゃないのかと
最初、ちょっとがっかりしたんですが(笑)
でも
クドカン、よかったんですこれが。
昭和30年代。
布枝(吹石一恵)は
まだ無名の漫画家しげる(宮藤官九郎)と
お見合い後、わずか5日で結婚する。
しげるの描く妖怪漫画は
「暗い!」と人気がなく
原稿料もほんのわずか。
道ばたの草をもおかずにするほどの
貧乏暮らしに
最初はとまどう布枝だったが
自分を信じて漫画を書き続けるしげるを
いつしか応援するようになる……。
ガッチガチに作り込んだ、という感じじゃなく
自主制作映画のような
手作り感が
いい具合に作用した珍しい作品でした。
ドカーンと事件があるでなし
画面はリアルに暗く
方言混じりのセリフも聞き取りにくい。
ボロ家でのひたすらに貧乏な暮らしが
描かれるだけなのに
なんだか愛すべき味わいがあります。
よき夫婦が、大事に積み重ねてきた時間の
片端に“ふわり”と触れてもらえれば
それでよし、なのだと思います。
昭和30年代のはずなのに
背景に調布パルコが映り込んじゃってたりするのも
まあ微笑ましい(笑)
風景のなかに
こっそり妖怪がいたりもするし。
ときどき挟まる
白黒のアニメーションもよくできてました。
マンガのコマのなかで
ペン描きの鬼太郎が動き出したりするんですが
つげ義春ふうというのか
実に雰囲気があっていい。
「貧乏は慣れとります。命までは取られませんし」
というクドカンから
水木しげる世界の根底にある
「戦争体験」や陰を
ちゃんと感じ取ることができました。
★11/20から全国で公開
「ゲゲゲの女房」公式サイト