こちらはアカデミー賞外国語映画賞受賞のイラン映画。
これは必見!のおもしろさです。



「別離」84点★★★★





「彼女が消えた浜辺」監督の新作。
シミン(レイラ・ハタミ)と夫ナデル(ペイマン・モアディ)は
テヘランに暮らす結婚14年目の夫婦。


シミンは11歳の娘(サリナ・ファルハディ)の将来のために、
あちこち奔走して国外移住の許可を取る。



だが、ナデルの父がアルツハイマーになってしまい
彼は移住できないと言い出す。


シミンはしばらく家を出ることになり
ナデルはお手伝いの女性ラジエー(サレー・バヤト)を雇う。


しかし、あるとき
ナデルの家である事件が起きる。

そして事件は、思わぬ波紋を広げてゆき――?!

いや~、アスガー・ファルハディ監督という人は、ホントに巧い。

「彼女が消えた浜辺」も面白かったけど、これもド凄い。

一般的な「人間の深層に迫る」映画の
さらに3段階以上深く潜っている感じです。


ミステリーでもあるので詳しくは秘密にしますが(笑)
「彼女が~」と似ているのは
基本的に「善」なる
市井のまっとうな人物たちが登場するところ。


しかしある事件が起こり、その謎を解くうちに
人間誰もが持っている「エゴ」がむき出しになっていくさまが


実に繊細に、巧妙に描かれるところですね。


悪意ではない、
だからこそ厄介な人間の“心理”の複雑さと、それによってこじれていく物事を
ものの見事に言い当てているんですねえ。


人間の心理に迫るミステリーであり、
かつ
そこに社会における問題(格差や宗教感、介護問題などなど)を絶妙に織り交ぜた
一級品だと思います。




どんなに相手のことを思っていても、
そこに「自分のため」は確実に存在する。
完璧な自己犠牲などないのか、と考えさせられました。

必見。


★4/7(土)から全国で公開。
「別離」公式サイト