ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ビラルの世界

2012-10-03 22:31:10 | は行

このクリクリおめめ
女の子かと思ったら男の子なんですねえ。

「ビラルの世界」69点★★★★


インド、コルカタ(カルカッタ)の
貧困地区に暮らす3歳の少年ビラルの日常を追ったドキュメンタリー。

両親が共に盲目で
経済的にも厳しい環境にあり、

リアル「スラムドッグ$ミリオネア」
評されるのも納得な世界なんですが

まだまだビラルの世界の9割は
狭い路地と家のなか。

深刻な危険性とは無縁のところにあって
「ここならば安心!」とばかりに
ビラル少年はわんぱくぶりを発揮。

その様子にハラハラしつつ
ハハハと笑ってしまうんです。

だって叩かれても叩かれても、彼のわんぱくは止まることなく、
小さい弟をいじめるわ
年上の近所のガキにつかみかかっていくわ

唯一おとなしい寝顔に「ホッ」とするほど。

しかし、次の瞬間
「キラリン」とばかりに目が開くと
「うへぇ。堪忍して」と思わず思ってしまうのもおかしい(笑)。


ビラルの家庭は
最下層の貧困家庭というわけではないらしいですが、
まあその暮らしぶりは大変に厳しい。

なんだけど、そこでの営みは
万人共通というか変わらない。

例えばビラルの両親は
もともと仲良しっぽいんだけど、

それでも
お父さんの仕事がない間、奥さんの機嫌はどんどん悪くなり、
家庭の空気も、夫婦仲も険悪になっていく。

で、お父さんが再び仕事をはじめると、
ビスケットも買えるし、夫婦仲も修復される。

どこの世界でも
愛とお金、そして心の余裕の仕組みは同じだなあと
「フッ」と笑みがもれたりもしました。

祖母や親戚が同じ長屋暮らしで
お兄さんお姉さんが代わる代わるビラルの勉強を見てくれたり、
世話を焼いてくれるのも微笑ましいしね。

被写体が全てを語る、
これも映像の力ですねえ。


★10/6(土)からオーディトリウム渋谷で公開。ほか全国順次公開。

「ビラルの世界」公式サイト
コメント
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