「イン・アメリカ 三つの小さな願い事」や
「ホット・ファズ!」の俳優
パティ・コンシダインが監督。
まあ、渋いテーマを選んだのはいいんですけどね。
「思秋期」57点★★★
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中年男ジョセフ(ピーター・ミュラン)は
失業中で飲んだくれ。
キレやすく怒りの感情を抑えられない彼は
その夜も酒を飲んで
可愛がっている愛犬に当たり散らし
あろうことか蹴り殺してしまう。
翌朝、後悔しても、もう遅い。
そんな彼はあるとき
女性ハンナ(オリヴィア・コールマン)に出会う。
明るく、信仰心に溢れる彼女に
ジョセフは徐々に心を開いていくが、
しかしハンナもまた
ある心の闇を抱えていた――。
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あらすじを読んで、
「う」と思った方も多いと思います。
あえて、書いておきました。
この冒頭の
愛犬へのしうちがどうしても尾を引いて、
その後の展開も、
なんかダメでした。
それを凌駕する、何かがあるわけじゃなかったというか。
主人公は、実は奥さんを介護の末に亡くしたという
苦労経験を持っていて、
まあ根っから酷い人物ではないんです。
ただ、
社会にも微笑まれず
神も助けてくれず
飲んだくれてやさぐれまくる。
そんな彼にフッと平穏が訪れそうに見えても、
そこに安易な救いなどあるわけはない。
そもそも主人公の怒りの発作には
かなり器質的な要因がある気もするし。
隣人が虐待する別の犬の話が出てくるのも
果てしなくつらいし、腹立たしい。
こうしたケースで犬を救うのは確かに難しいから
腹立たしさも募るけど、
人間ハンナを救う術は、なんかあるんじゃないか?とか
思えてしまってやるせない。
世の中「いい話」ばかりが必要なわけじゃなく、
別にそんなこと望んじゃいません。
けど、
じゃあこの映画は
それを推しても見たいかといえば
ワシはそうは思わなかった、ということです。
★10/20(土)から新宿武蔵野館で公開。ほか全国順次公開。
「思秋期」公式サイト