これは拾い物でした。
「25年目の弦楽四重奏」78点★★★★
**************************
結成25年を迎えた
世界的に有名な弦楽四重奏団。
第1ヴァイオリンのダニエル(マーク・イヴァニール)は
音楽一筋の独身男で
第2ヴァイオリンのロバート(フィリップ・シーモア・ホフマン)と
ヴィオラのジュリエット(キャサリン・キーナー)は
私生活でも夫婦だ。
と、息ピッタリで仲良しのカルテットだが
最年長のチェリスト、ピーター(クリストファー・ウォーケン)が
引退を発表したことで
4人の間に亀裂が入りはじめ――?!
**************************
いや~このところ
高齢者+音楽ネタの映画が続いていて
正直「・・・また?」と思ったんです。
しかしこれは拾い物でした。
番長フェイヴァリットは
本作>「カルテット!人生のオペラハウス」>「アンコール!!」の順だなー。
どれも平均以上なんですけどね。
大袈裟な描写はせず、
それでいて四人四様の性格や心境、背景までをしっかり浮かび上がらせながら
人間関係の妙を描いていて
“大人”な雰囲気があります。
監督はマサチューセッツ工科大で物理学の学士号を持っているそうで
それを知ると、ほお~なるほど
非常に思考が深く、考え抜いた“構築感”があるのはそのへんか。
音楽には疎いワシですが
それでも劇中で奏でられるベートーヴェンの曲さながらに、
序章、転調、震えるビブラート、さざ波のような余韻・・・と
ストーリーと俳優の奏でる波長が、合わさっているのを感じました。
重厚なのに
ブッと吹き出すシーンもあっていいんですわ。
ただ、惜しいのは
すっごくいいシーンなのに、
カットの切り上げがあと一呼吸早すぎるところ。
あと5秒、余韻がほしい!
それでも
第2バイオリンを務める
フィリップ・シーモア・ホフマンは、ここ数年で一番の演技だと思った。
人当たりよく、常に後方支援で
みんなの緩衝材になっているけど、
本音では「第1をやりたい!オレも前に出たい!」という
彼の気持ちがすごくわかったし
私生活でもその気質が反映しているという設定には
グッと掴まれるものがありました。
★7/6(土)から角川シネマ有楽町ほか全国で公開。
「25年目の弦楽四重奏」公式サイト