ほかの選挙ドキュメンタリーも見たけれど、
やっぱり想田監督のセンスは群を抜いている。
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「選挙2」73点★★★★
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2005年、川崎市議会選挙に
自民党公認候補として立候補した
“山さん”を追った「選挙」(07年)の続編。
2011年4月、川崎市議会選挙に
再び立候補した“山さん”のドキュメンタリーです。
まず、ハッとしたのは
自粛ムードの選挙戦や「節電」の町を見つつ、
これが震災直後の話だとわかったとき。
当時の状況が
すでに相当な「過去」になってしまっている事実に「ゾクッ」とした・・・。
これは“選挙”を描くと同時に
節電、自粛、脱原発、エコロジー・・・といった、
世相の、政治の、民衆の「ムード」が、
こんなに短時間に変化してしまうという、恐ろしい記録なのだ。
“被災地”発のドキュメンタリーは多くあったけど
あのとき大多数の日本国民が体験した、
一種、異様な連帯感を、こんなふうに映したものはなかったと思う。
それに
なんでもない風景を客観的に映すだけで
そこはかとない不気味さも
大爆笑も生み出すのはさすが。
これはもう、作家としての“センス”としかいいようがない。
山さんが他候補者に図らずも(?)
エールを送ってしまうシーンなんてもう爆笑ですよ(笑)
ただ、今回
山さんは“なんにも選挙活動をしない”を貫いていて
あまり映すものがない(苦笑)
そのぶん「なぜ『おはようございます』って挨拶するだけなの?」というミステリーや
対戦候補たちの人となりが
図らずもクローズアップされているのは、意外な効果だったのかもしれません。
上映後、会場に来ていた想田監督は
「昨年の衆院選の結果を受けて、(撮ったままにしてあった本作を)編集しようと思った」と話していた。
その思いはきちんと通じました。
ただ、山さんがなぜ、
消極的にすぎる戦い方を選んだのかは、
最後まで不明で、ちょっと残念。
でも、先の都議選で
相変わらずの名前の連呼にうんざりしたとき
「山さん流は、ホントはアリかもしれない」とも思ったのも
事実なんでした。
★7/6(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。
「選挙2」公式サイト