ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

福島 六ヶ所村 未来への伝言

2014-02-11 17:28:54 | は行

じっくりと腰を落ち着けて、
問題を見続けるジャーナリズムの尊さ。


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「福島 六ケ所村 未来への伝言」70点★★★★


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1986年のチェルノブイリ原発事故後、
青森県六カ所村を訪れ
自身も村で12年間暮らし(!)

20年にわたって
核燃料サイクル基地建設に揺れる村人たちを取材してきた
写真家・島田恵氏が

3.11後に福島を取材し、
ふたつの問題をつなげた作品です。

福島のドキュメンタリーは多いけど、
本作は六カ所村での監督の取材の歴史が
とても大きく意味を持っている。

まずは
福島から東京に避難してきた若い一家、
郡山市で農業を続ける一家などに話を聞き、

そして青森では
六カ所村が「核のゴミ捨て場」となった経過や歴史を描き、
原発事故後の村の人々の思いにつなげていく。

自ら取材相手に問いかけることもほとんどなく、
ナレーションもなく、
当事者たちの思いや陳情をシンプルに写している。

その視線に、いたわりと柔らかさがにじみ出ていて、
見易い作品でした。

福島で
「原発関連産業で食べている」側の女性の声が入っているのには驚いた。
「いま、よく話してくれたな」と。


監督の付け焼き刃ではない問題への取り組みと、公正さが、
それを可能にしたのかもしれませんね。


六カ所村の市長たちが
3.11後、民主党の「脱原発路線」ムードを不安げな表情で見守り
「それは困る」と陳情する様もとても恐ろしく。

恐ろしいけれど、それが村の生活でもあり。

別の視点から原発問題を
ふーむと考えさせられました。


★2/15(土)からオーディトリウム渋谷で公開。ほか全国各地で上映。

「福島 六カ所村 未来への伝言」公式サイト
コメント
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