ジャンヌ・モローも
出ています。
「家族の灯り」68点★★★☆
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ある街で、つましく暮らす、ある一家。
帳簿係として働く父ジェポ(マイケル・ロンズデール)は
8年前に忽然と姿を消した
息子ジョアンの帰りを待ち続けている。
ジェポは息子が姿を消した理由を知っていたが、
息子を溺愛する妻(クラウディア・カルディナーレ)には
そのことを黙っていた。
だが、同居する息子の妻ソフィア(レオノール・シルヴェイラ)は
うすうす理由に気づいているようで
一家の間には、重く、微妙な空気が常に流れている。
どんななか、突然ジョアンが戻ってきて――。
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今年106歳になる
ポルトガルの巨匠、マノエル・ド・オリヴィエイラ監督の最新作。
1923年に書かれた戯曲が元ネタだそうですが、
描かれる“貧困”“家族”といったテーマが
現代にとても通じており、
時代がいつとか、あまり関係なく
妙にしっくりくる話です。
冒頭、波止場に佇む青年の
絵画のようなワンショットにまず掴まれまして、
しかし、その後のシーンは
すべて穴蔵のような暗い家の中のみ。
限られた空間を、ほぼ決まったアングルで撮っていて
登場人物わずか数人。
それを魅せる
色調、光、構図の極みを確かに感じます。
外は常に雨や嵐で、
登場人物たちは息子を不在を嘆き、
貧困を嘆き、希望のない暗い世を嘆きながら
ひたすらに“待っている”。
これがしかし、観客には少々つらい(苦笑)。
大きな起伏もなく、じわじわと寒さが底から這い上がってくるようで
暗~い気分にもなりますが
しかし、見終わってみると
その暗示的世界が
どこか
「ニーチェの馬」に似ている気もして
興味深いものでした。
深く考えながら見るべき作品ですね。
★2/15(土)から岩波ホールほか全国順次公開。
「家族の灯り」公式サイト