ミステリのワクワクを盛り上げる
導入はかなり見事でした。
「グランドピアノ~狙われた黒鍵~」68点★★★☆
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若き天才ピアニスト、トム(イライジャ・ウッド)は
亡き恩師の追悼コンサートの舞台に立つ。
恩師が作った
演奏不可能とされる難曲「ラ・シンケッテ」を弾けるのは
最も指の動きが速い、トムだけなのだ。
だが、ステージ上で楽譜をめくると
そこには妙な文字が。
「一音でも間違えたら、お前を殺す」
そしてトムは自分が
ライフルで狙われていることを知る。
いったい、これはどういうことなのか――?!
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大勢の観客の前で、命を狙われながら
一音も間違わずに、演奏しなければならないピアニスト――。
スリリングでハラハラ
かつミステリアス。
実にいい題材じゃあありませんか。
冒頭、ピアノの“部分”をさまざまな角度から写す
クローズアップも魅力的で、
“ピアノ”がキーだということを、さりげなく知らしめる。
合わせて主人公の過去を簡潔に
さらさらと紹介し、
「さあ、舞台は整った!」という感じ。
そして本題となるわけですが
ここからがやや残念。
いかにも死亡フラグなカップルが出てきたりするのは
定石としても
「楽譜通りに弾くことが不可能な難曲」を
大勢の前で弾きこなしながら
自分の命を狙う犯人とケータイで会話したり、
メールを打ったり
かなーり「ええ?!」とあり得ない系のオンパレード(苦笑)。
もしかして、小説として読んでいたなら
スルーできていたかもしれないのですが
ここでは冒頭と逆に
映像が枷になってしまった。
荒唐無稽を絵にする難しさ、ですねえ。
しかし果敢な挑戦とがんばりは理解できるし、
粗くとも、魅力はあると思います。
そして
からくりや仕掛け、というモチーフは
ミステリーの重要要素だなあとつくづく思うのでありました。
★3/8(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「グランドピアノ~狙われた黒鍵~」公式サイト