このひとりぼっち描写は、新しい。
「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙」71点★★★★
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インド洋をヨットで
単独航海していた男(ロバート・レッドフォード)は
ある日、水音で目覚める。
寝ている間にアクシデントがあり
ヨットに穴が空いてしまったのだ。
航行装置も故障、無線も使いものにならない。
男はひとりぼっちで
この困難に立ち向かうことになる――。
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「海上でひとりぼっち」は
よくある題材と思うけど、
新しいなあ!と驚いたのが
セリフがひとつもないことと
とにかく、主人公が冷静なこと!
レッドフォード氏演じる“男”は
どんな事態になっても慌てず、騒がず。
声を荒げることもなく、
黙々と破損した船体を修理し
いよいよヤバイ!という事態になっても、
あらゆる手段を高じて、対処しようとする。
その姿が、凛として立派。
しかし
危険を冒して修理した穴から
また水が漏れてきたりとか
ワシなんて絶対
呪いの言葉、吐きまくると思うよ。
いくら「shit!」言っても足りないと思うよ(笑)
オトナだなぁ、レッドフォード氏は。
まわり全部海!で変化に乏しいのに
さまざまな工夫で映像を組み立て、
過去の回想シーンとかもない。
観客は彼と一緒に、海上を漂流しながら
その孤独を体験し、
死に直結する、かすかな物音や異変に敏感になる。
もう臨場感満点っす。
圧倒的な孤独のなかで困難に立ち向かい
あきらめずに、生きようとしながら
自分を見つめ直していく、
そのコンセプトはある意味、
海上版「ゼロ・グラビティ」とも言えるかもね。
★3/14(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほか全国で公開。
「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙」公式サイト