ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~

2014-03-09 21:57:37 | あ行

このひとりぼっち描写は、新しい。


「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙」71点★★★★


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インド洋をヨットで
単独航海していた男(ロバート・レッドフォード)は
ある日、水音で目覚める。

寝ている間にアクシデントがあり
ヨットに穴が空いてしまったのだ。

航行装置も故障、無線も使いものにならない。

男はひとりぼっちで
この困難に立ち向かうことになる――。

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「海上でひとりぼっち」は
よくある題材と思うけど、

新しいなあ!と驚いたのが

セリフがひとつもないことと
とにかく、主人公が冷静なこと!

レッドフォード氏演じる“男”は
どんな事態になっても慌てず、騒がず。

声を荒げることもなく、
黙々と破損した船体を修理し

いよいよヤバイ!という事態になっても、
あらゆる手段を高じて、対処しようとする。

その姿が、凛として立派。


しかし
危険を冒して修理した穴から
また水が漏れてきたりとか

ワシなんて絶対
呪いの言葉、吐きまくると思うよ。
いくら「shit!」言っても足りないと思うよ(笑)

オトナだなぁ、レッドフォード氏は。


まわり全部海!で変化に乏しいのに
さまざまな工夫で映像を組み立て、

過去の回想シーンとかもない。

観客は彼と一緒に、海上を漂流しながら
その孤独を体験し、

死に直結する、かすかな物音や異変に敏感になる。
もう臨場感満点っす。


圧倒的な孤独のなかで困難に立ち向かい
あきらめずに、生きようとしながら
自分を見つめ直していく、

そのコンセプトはある意味、
海上版「ゼロ・グラビティ」とも言えるかもね。

★3/14(金)からTOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほか全国で公開。

「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙」公式サイト
コメント
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