ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

美しい絵の崩壊

2014-05-27 23:58:40 | あ行

いいじゃん!ワシ全然オッケーよこれ(笑)


「美しい絵の崩壊」72点★★★★


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舞台は現代、オーストラリア。

幼いときから姉妹のように育った
ロズ(ロビン・ライト)と、リル(ナオミ・ワッツ)は
やがて結婚し、それぞれ息子を授かる。

リルの夫が早逝し、ロズの夫は留守がちなこともあり
二人の母と息子たちは、
本当の家族のような固い絆で結ばれていく。

月日は流れ、
息子たちは美しい男に成長し、

リルの息子イアン(ゼイヴィア・サミュエル)は
自分が母親同然だったロズを愛していることに気づく。

そしてある夜、
ロズは戸惑いつつも、イアンの一途な思いを受け入れてしまい――?!

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久々に「わたしの可愛い人~シェリ」(コレット原作)みたいな
時代を超えた“愛”の映画という感じ。

タイトルどおり
「いつ、美しい絵=4人の関係が崩壊するのか?」と思って見ていると
「ああここでか!」となるおもしろさがあります。

とにかく舞台となる
オーストラリアの海辺のロケーションがめちゃくちゃ美しいし
登場人物4人も(年齢からみても)あり得ないほど美しいので

先入観ナシに見てほしいなー。
実はけっこう笑えたり(笑)
意外な味わいがあるんですよ。


美しい海辺の家という“場所”と“関係”に囚われた
二人の母親が

それぞれ相手の若く美しい息子と
年の差カップルになるという

あり得るんだがないんだが、
子ナシの身にはまるでわからない話で(笑)

インモラルな匂いはプンプンですが
「シェリ」同様、こちらも
年齢の差と、近親的な(あくまでも“的”ね)関係が問題なだけで

“浮気”定義に抵触する部分がチラっとあれど
自分の息子と関係するわけじゃないし、
そんなに問題ではないんですよね。

しかもそうしたドロドロ関係を
醜悪なこと一切なく、
陽射しを浴びた伸び伸びとした美しさとして描ききってしまう。


そこに薄っすらと“気持ち悪さ”があったりする。

これが「好き!」「愛してる!」の暴走だと
勘違い暴走のハーレクイーンロマンス系?ってやつかもしれないけど

全体に、どこかでこの恋愛を俯瞰しているような目線、
客観的で、ときに批判的とも受け取れそうな
冷めた目線が常にあるゆえに、

直球のロマンスではない
得も言われぬ味があるのだと思います。

例えば
海でケンカした息子たちを止めに駆け寄る母親たちが

お互いに自分の息子じゃなく
付き合ってる相手のほうに自然に行くシーンとか。
自然な絵なんだけど、え?オイ、そっちかよ!(笑)

さらに息子たちに若い嫁をあてがちゃったりして(!)
しれっと孫を可愛がってるシーンとか……別腹に、って感覚?怖ええ(笑)

ちょっとホラーな感じでしょ?(笑)
そこがウケるんですね。
試写室でもけっこう笑いが起きてた(ちなみに男性がウケてた


正直、男性ウケは今ひとつと聞きましたが
単純に生理的なものだとすると
心せっま!って感じ(笑)

まあ「ん?」なつなぎや展開がなくもないのですが

これオッケーと言える人のほうが
オモシロイ人だ、とワシは思う。


★5/31(土)から公開。

「美しい絵の崩壊」公式サイト

コメント
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