ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

2014-05-29 23:45:41 | あ行

やっぱり猫が好き(笑)


「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」73点★★★★


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1961年、ニューヨーク。

ルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)は
鳴かず飛ばずのフォーク・シンガー。

ある朝、
彼は友人の大学教授の家で目覚める。

メモを置いて、玄関を出たそのとき
夫妻の愛猫ユリシーズが一緒に外へ出てしまった。

仕方なく猫を連れて、
ミュージシャン仲間のジーン(キャリー・マリガン)のアパートを訪ねるが
ジーンはカンカンに怒っており――?!


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主人公のモデルは
ボブ・ディランが憧れたシンガー、デイヴ・ヴァン・ロンク氏だそう。

ループするグダグダな主人公のダメ感
気だるいオフビート笑い、

スモーキーな画面・・・・・・と
作品によって乱高下するコーエン兄弟の
“いい波の”ムード満点(笑)

キャリー・マリガンも新鮮な印象に感じるし

愛すべき作品であることは確かです。

とにかく猫が存在感満点!

主人公は
家もなく、ギターを抱えて人んちのソファを転々とし
女を妊娠させては逃げているようなダメ男なんですが

ですが、自分が逃がしてしまった猫を懸命に追いかける様、
そんな彼の
「音楽に真摯でありたいゆえの不器用さ」を知るうちに、
ダメだけど人好きするヤツなんだな、と。

それで生き延びていることが、
彼にいいのか悪いのか。


60年代初頭のNYフォーク・シーンってよく知らないのですが
見てると、優等生的なフォークと
それに対抗する“ボロくて不良っぽくて、ソウルある”主人公との、
音楽性や目指すモノの違いが、ワシにもわかってきました。


「音楽を(やりたいことを)やらないなら、
存在しているだけの人生だ」というの、いいよね。


ラストにチラっと出てくるのが
若きボブ・ディランらしいです。
それが“新しい時代”の予感なのでしょうね。


ちなみに。

プレス資料にあった評論家・芝山幹郎さんの解説を元に
モデルとなった氏のアルバム
「インサイド・デイヴ・ヴァン・ロンク」を探してみました。

これ!猫!(笑)


★5/30(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」公式サイト
コメント
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