いやあ、これはすごかった。
「フューリー」72点★★★★
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1945年4月、第二次世界大戦末期。
ドイツに侵攻する連合軍のなかに
「フューリー」(=激しい怒り)と名付けられた
一台の戦車があった。
搭乗する5人のリーダーである軍曹(ブラッド・ピット)は
新兵(ローガン・ラーマン)を厳しく鍛えつつ、
的確な指揮で激しい戦闘をくぐり抜けていく。
しかし、最後の抵抗をするドイツ軍は
各所で熾烈な反撃をしかけてきて――?!
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戦争映画なんてもう見たくない、と正直思いつつ、
これはすごかったです。
戦争の狂気のリアリティ、
首が吹っ飛ぶような生々しさはあるけれど、
なかなか描写が絶妙で、不必要に血なまぐさくない。
死体を踏みながら進む、
いわば“泥臭い”戦車を主役にしたという着眼点もよいし
中心となる部隊一人一人の過去の背景などを全く排除し、
常に戦火の状態を、現在進行形で描いている。
そのことで
戦争というものが、どんなにありえない異常な状況かという輪郭が
すごくハッキリしたんだと思います。
それにやっぱりブラピがいいっす。
頼りがいあるリーダーっぷりに惚れ惚れ。
理知的なシャイア・ラブーフのキャラも効いているしね。
「勝ち目のない敵に、数人で挑む」状況も
決して美談ではない後味で、
いままで映画などで見聞きしてた“戦争体験”が上書きされた感じに
見た意味があるかなと思いました。
これを観たあとに
ベニチオ・デル・トロが第2次大戦に従軍し、傷を負った男の役で
マチュー・アマルリックがその精神分析をする
「ジミーとジョルジョ 心の欠片(かけら)を探して」(来年1月公開)の試写を見たのですが
この映画に戦場シーンはなくても
デル・トロの苦しみの背景を
「ああ、あの経験をしたんだな・・・」と、フューリーの世界を思い浮かべて
なんか、鑑賞の助けになった気がします。
なんか、つながりますね映画って。
★11/28(金)から全国で公開。
「フューリー」公式サイト