今年はアピチャッポン・イヤーですよ。

「世紀の光」70点★★★★




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タイの豊かな森のなかにある病院。


女医のターイ(ナンタラット・サワッディクン)が

青年医師ノーン(ジャールチャイ・イアムアラーム)の面談をしている。
その後、
ターイはある青年に求婚され、



自分のかつての恋愛話を彼に話す。
ターイはある青年に思いを寄せていたが



彼は足の悪いジェン(ジェンジラー・ボンパット)のことを想っていた――。
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「ブンミおじさんの森」(10年)の
アピチャッポン・ウィーラセクタン監督が
06年に撮った未公開作品です。

ワシ「ブンミおじさん」は
よくわかんなかった人の筆頭で(笑)

でも魅力はわかる、という感じ。

で、本作はブンミ~より好きでした。
単にワシの波長が
作品に合ってきたのかもしれんのですが

初期作品ということもあり、
彼の作家性の萌芽はありつつも、ストレートで瑞々しい。



わからないところあっても
いやではないのです(笑)


優しく、穏やかで、ユーモアもある。
でも何かヘンだし、やっぱり不思議だ。

前半はタイの森のなかにある
ちょっと古い病院が舞台。


これは両親が医者だったという
アピチャッポン監督の原体験を映してもいるらしい。
そして後半の舞台は
都会の無機質な近代的病院になる。


そしてどちらの空間にも
「別の見えない何か」がやはりいる。

登場人物によって
生まれ変わりのエピソードや、昔の伝説が語られるんですが
その場でサラッと流れていく空気のなかに
何かがいるんだよなあ(笑)。

全然怖くはないんですけどね。

それが、自然というか。
それを感じるのが楽しい映画でした。

前半と後半で
同じ会話が繰り返されたりするシーンを見ながら
ああ、なんかゴダール?とか
そういう感覚なのかなと思ったりもして。


わかんなくても、感じればいいのだなあと。

それにしても、あのラストは何なのだ?(笑)

で
今年は本作に続いて3月に新作「光りの墓」が公開され、
さらに
福岡や青森、横浜でアートエキジビションがあったり
「さいたまトリエンナーレ」に参加したり

その後は「東京都写真美術館」で個展もあるそうで

まさに
アピチャッポン・イヤー!

★1/9(土)からシアターイメージフォーラムほか全国順次公開。
「世紀の光」公式サイト