サブプライム問題を
ここまでガチで
フィクションで見たのは初めてかも。
「ドリーム・ホーム 99%を操る男たち」71点★★★★
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フロリダ州に暮らす
若きシングルファーザーのデニス(アンドリュー・ガーフィールド)は
仕事を失い住宅ローンの返済を滞らせてしまう。
裁判所は容赦なく、デニスに家の明け渡しを命じる。
そして明け渡し期限の日。
デニスたちの家に
不動産ブローカーのカーバー(マイケル・シャノン)がやってくる。
カーバーはデニスのような人々から家を没収し、それをまた売る仕事で
富を獲得した人間だった。
わずかな貴重品をまとめ
文字通り“路上に放り出された”デニスたちだったが――?!
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低所得者に「家が買えますよ」と
ほとんどノー審査でローンを組ませて(あり得ねえ!笑)
返済できなくなったら、家を没収して損失を免れるという
銀行が仕組んだサブプライム・ローン。
リーマン・ショックの引き金になったとも言われる
この極悪ローンを
ドキュメンタリーではなく
サスペンスエンターテイメントとして扱った興味深い作品です。
ローン返済に行き詰まって
家を追い出される人々と、
さらに追い出す側の立場をも
リアルに描き出しているのもおもしろい。
リーマンショック後の市井の人々のリアルな状況を
フィクションで見たのは
「カンパニー・メン」(2011年)くらいかもしれません。
主人公はアンドリュー・ガーフィールド演じる
シングルファザーのデニス。
息子と自分の母親を守るために
せっせと働いているのに
リーマンショックで仕事を失い
住宅ローンを滞納してしまう。
彼が家を追い出される様子は
胸が苦しくなるほどですが
監督はその状況をしっかり取材し、
登場する人々も一般人を起用しているそう。
これが、またリアルなんですね。
そんなデニスを追い出すのは
不動産ブローカーのカーバー。
この憎まれ役を
マイケル・シャノンが演じているんですが
この人がやると、やっぱりフツーじゃない(笑)
この世界で“勝ち組”を
必死に勝ち取ろうとしているカーバーを
どうしても悪者とは思えないのだ。
「この国は、勝者が築いた国なんだ」
「ノアの方舟に乗れるのは100人に1人なんだ!}」と
言い切るカーバーは
そのまんまアメリカの病理を表しているわけで。
なぜこの国は「ゼロか、億か」みたく、こう極端なのか?
見ながら思わずにはいられません。
でも、この話、本当に他人事じゃない。
カーバーが
家を追い出されるデニスに言うんです。
「真面目に働いてきて、どうなった?報われなかっただろう?」
――うう・・・・・・
このセリフ、いまの日本を生きる我々に
そのまま重くのしかかりませんか。
ただね、
暮らしのために
憎むべき相手であるカーバーに雇われたデニスが
“中途半端な正義感”に揺れるあたりが、
なんとはなしにスッキリしないのが惜しいんですけど。
でも、明日は我が身。
勉強になっておもしろい映画でしたよ。
ちなみに
サブプライムの極悪さと
リーマンショックとの関係を詳細に描くのが
これから公開の「マネー・ショート」(3/4公開)です。
いろいろ勉強になりますわー。
★1/30(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「ドリーム・ホーム 99%を操る男たち」公式サイト