なぜ、これを3Dで撮ったのか。
その秘密がわかると
じわじわと、きます。
「誰のせいでもない」3D 72点★★★★
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凍てつく冬のカナダ・モントリオールの郊外。
作家トマス(ジェームズ・フランコ)は
新作の構想に悩みながら、田舎町を走っていた。
そのとき突然、目の前に
ソリが滑り落ちてくる。
急ブレーキをかけたトマスの前には
放心した様子の幼い少年がいた。
悲劇は回避したかに思えたが、
トマスが少年を彼の家に送っていくと
母親(シャルロット・ゲンズブール)は血相を変えて――?!
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ヴィム・ヴェンダース監督、7年ぶりの劇映画です。
まず
なんとも掴みにくいというか。
イメージするような
サスペンスやミステリーではないんです。
避けられなかった事故を起こした作家(ジェームズ・フランコ)。
その事故で、幼い息子を失った被害者(シャルロット・ゲンズブール)。
作家の精神はどん底になるんだけど
しかし被害者までもが
「あなたのせいじゃない」と言ってくれる。
そして
作家は行き場のない思いと過去を抱えながら
年月を重ねていく――という話。
描かれるのは
贖罪や後悔、懺悔とも違う。
起こってしまったことは、二度と元には戻らない。
そうした“過去”が人に
どんな傷や痕跡を残すのか――
それを観客に、主人公と同じ時間と空間を味合わせながら
体験していくような感じなんですね。
そのための“3D”なんですよね、これ。
というわけで
明確なサスペンスやミステリーを期待すると
肩透かしを食らうと思う。
ワシも最初、そうだったし
主人公のジェームズ・フランコが端正すぎて、
苦悩する人物に結びつきにくて、うまく入り込めなかった。
見た直後は67点くらいかと思った(笑)
が、しかし。
見終わっていまもじわじわと
余韻が蘇って、自分の何かを侵食していく感じがあるんですよ。
けっこう、すごい映画かもしれません。
★11/12(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。
「誰のせいでもない」公式サイト