カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞。
「灼熱」70点★★★★
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1991年、夏。
隣合う村に住む
セルビア人の娘イェレナ(ティハナ・ラゾヴィッチ)と
クロアチア人の青年イヴァン(ゴーラン・マルコヴィッチ)は恋人同士。
しかし
クロアチア国内での民族対立が悪化していた。
二人は村を出て、都会へ引っ越す計画を立てるが
イェレナは兄から
「絶対に家から出るな」と言われ、監禁されてしまう――。
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1991年、クロアチア紛争の勃発前夜。
2001年、紛争終結後。
そしてその10年後の2011年。
20年のあいだに
クロアチアとセルビアの間に起こった出来事を、
それぞれの時代を生きる一組の男女の関係を描くことで
紡いでいく作品。
おもしろいのは3つの時代ともに
同じ俳優が主人公なんだけど
それぞれの時代で別の人物を演じている、という点。
こういう構成だと知らずに見たので
最初はちょっと混乱しました。
こういう方式でも
それぞれの時代の主人公に
因果関係のストーリーがあったりすることが多いんだけど
ここでの縦糸はあくまでも
「紛争」。
主演の男女俳優二人がとてもよいし、
それぞれの時代のエピソードに余韻が残るので
もっとそれぞれの話を
じっくり見たかったなあという気もする。
でも
それが監督の狙いなのかもしれん(笑)
こういう方法もアリ、ですかね。
クロアチア紛争について、じっくり学びたくなるし
争いや衝突のむなしさを
荒れ果てた村や朽ちた建物で表現する方法もいい。
音楽もすごく効果的に使われています。
なにより
土地の風や自然、常にさりげなくいる動物たちが
作品を貫く、一本の太い軸糸に感じました。
★11/19(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「灼熱」公式サイト