ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

灼熱

2016-11-17 23:51:47 | さ行

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞。


「灼熱」70点★★★★


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1991年、夏。

隣合う村に住む
セルビア人の娘イェレナ(ティハナ・ラゾヴィッチ)と
クロアチア人の青年イヴァン(ゴーラン・マルコヴィッチ)は恋人同士。

しかし
クロアチア国内での民族対立が悪化していた。

二人は村を出て、都会へ引っ越す計画を立てるが
イェレナは兄から
「絶対に家から出るな」と言われ、監禁されてしまう――。


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1991年、クロアチア紛争の勃発前夜。
2001年、紛争終結後。
そしてその10年後の2011年。

20年のあいだに
クロアチアとセルビアの間に起こった出来事を、
それぞれの時代を生きる一組の男女の関係を描くことで
紡いでいく作品。


おもしろいのは3つの時代ともに
同じ俳優が主人公なんだけど
それぞれの時代で別の人物を演じている、という点。

こういう構成だと知らずに見たので
最初はちょっと混乱しました。

こういう方式でも
それぞれの時代の主人公に
因果関係のストーリーがあったりすることが多いんだけど

ここでの縦糸はあくまでも
「紛争」。


主演の男女俳優二人がとてもよいし、
それぞれの時代のエピソードに余韻が残るので
もっとそれぞれの話を
じっくり見たかったなあという気もする。

でも
それが監督の狙いなのかもしれん(笑)

こういう方法もアリ、ですかね。

クロアチア紛争について、じっくり学びたくなるし

争いや衝突のむなしさを
荒れ果てた村や朽ちた建物で表現する方法もいい。
音楽もすごく効果的に使われています。

なにより
土地の風や自然、常にさりげなくいる動物たちが
作品を貫く、一本の太い軸糸に感じました。


★11/19(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

「灼熱」公式サイト
コメント
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