ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ノー・エスケープ 自由への国境

2017-05-03 23:51:29 | な行

「ゼロ・グラビティ」監督が製作。
息子が監督。


「ノー・エスケープ 自由への国境」69点★★★☆


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メキシコとアメリカの国境にある砂漠地帯。

メキシコ人のモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は
15人の移民たちと
アメリカに不法入国するトラックに乗っていた。

しかし、砂漠の真ん中でトラックが故障し
モイセスたちは歩いて砂漠を越えなければならなくなる。

照りつける太陽のなか歩き続けていた彼らを
突然、銃弾が襲った――!


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いや、マジこれ怖いです。
イヤです(苦笑)。

ホナス・キュアロン監督が
移民たちの体験談を取材し、
構想から8年かけて完成したという作品。

この恐怖、マジなのか・・・っていうのが
第一です。

監督の父である
「ゼロ・グラビティ」のアルファンソ・キュアロン監督が
「ゼロ~」前にこの脚本を読み

「面白い!ワシもこんな映画が作りたい!」
「ゼロ~」を作った・・・という逸話あり。

確かに、
荒涼とした砂漠の、水も空気すら少ないような極限でのサバイバル、
逃げ場なしのハラハラは

宇宙空間での恐怖にも通じていて
まるでSFのような感じもする。

しかし、これがSFじゃないってところが
余計に怖い。


移民たちを襲うのは
動物でも、暑さでもなく、“アメリカ愛国者”の狂信なんですね。
でも、本人はまったく狂信と思ってないし
言うまでもなく、トランプを支持した人たちは
こういう思考を持っていてもおかしくないわけで。

実際に、この付近では
「アメリカを移民から守るんだ!」と息巻く退役軍人たちが
「自警団」のようなものを作り、
国境で警備をしているそうなんです。

ぜんっぜん、SFじゃないですよ。

88分のコンパクトさも好きだし
すごく惹きつけられる映画なんですが

でも、やっぱり“イヤサス”=イヤ~なサスペンスなんですよね。
(イヤミスを真似てみた。笑)
ハラハラの裏にある現実のイヤ〜な感じが凄まじく
決して、見てこころよいものではないのですわ。

でも、けっこう、残ります。


★5/5(金・祝)から全国で公開。

「ノー・エスケープ 自由への国境」公式サイト
コメント
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