あの映画の、あの名シーンを生んだのは
このカップルだったのか!
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「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」69点★★★★
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1960年代以降のハリウッド映画100作以上に関わり、支えた
すんごい裏方夫妻のドキュメンタリーです。
夫のハロルドは、絵コンテ職人。
脚本のイメージを視覚化するだけでなく
カメラで撮ったときの画角や構図もちゃんと計算して、絵を描く。
ヒッチコックの「鳥」のあのシーンも
「卒業」で足の間にダスティン・ホフマンが映るあのシーンも
演出の要といえる名場面は
すべて彼が描いたコンテのとおりだったのか!とびっくり。
裏方の仕事にスポットを当てるって、素晴らしい。
というか、もっときちんと、表に出すべき!
(ハロルドはのちに、プロダクション・デザイナーや美術監督として
映画にクレジットされるようになったけど)。
さらに
彼と60年以上連れ添った妻リリアンは
映画のリアリティの要となるリサーチャーとして大活躍。
その調査能力のすごさは関係者を表して
「CIAも欲しがるだろう」と言わせるほど。
インタビューに答える彼女は
もうオーバー80歳だけど
若々しく言葉も明瞭で、チャーミング。
出入りしていたトム・ウェイツのことを
「素敵なハスキーボイスで、
彼が話すことはみんな警察での自白みたいだったわ」なんて(笑)
言い得て妙!(笑)
二人の仕事の功績のすごさに加え、
夫婦のヒストリーにもグッとくる。
リリアンの生い立ちや、駆け落ち婚、そして息子のこと・・・
さまざまなアップダウンがあっても
二人は常に一緒にそれを乗り越える。
仕事への誠実さ、真摯さが
パートナーへの関係にも現れているのが
素敵なんですねえ。
本作の監督、ダニエル・レイムは学生だった97年にハロルドと出会い、
00年ごろから撮影をスタートしたらしいですが
このタイミングが本当によかった。
というのも
このころからハロルドは体調を崩し始めていたようなんです。
そして07年に亡くなった。
絵コンテを見せながら
嬉しそうに話をする彼を、カメラに残せたのはすごい。
人の歴史を記録するのはタイミングだとつくづく。
映画ファンには絶対楽しいし
「映画って、こうやって作られるのか!」と勉強になると思います。
★5/27(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開。
「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」公式サイト