まるで
黒い「プロジェクトX」!(苦笑)
「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」75点★★★★
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1954年。戦後の好景気に沸くアメリカで
パッとしない人生を送る
セールスマンのレイ(マイケル・キートン)。
あるときレイは、田舎町で
兄マック(ジョン・キャロル・リンチ)と
弟ディック(ニック・オファーマン)が経営する
ドライブインレストランに出合う。
通常は20分~30分待たされるのに
そこでは料理ができあがるまで、わずか30秒。
従業員たちは、考え抜かれたマニュアルとシステムで動いていた。
その店の名は「マクドナルド」。
仰天したレイは兄弟に
店をフランチャイズ化して、全米に広めようと持ちかけるが――?!
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さあ、みなさん
これは見応えありますよ~。
マイケル・キートン主演。
実話に基づいて、あの“マクドナルド”創業のヒミツを描く作品。
「こんな話、知らなかった!」と同時に
巨大企業の黒い原点を、よくここまで描けたなあと驚きました。
そして
この事実を知ることは、真のマクドナルド創業者にとって
仇討ちにもなるのだ! ってね。
主人公は、実在の人物であり
「世界最強のハンバーガー帝国の創業者(=ファウンダー)」として知られるレイ・クロック。
野心はあれど、自分自身には何もなく
しょぼいセールスマンに甘んじている彼が
マクドナルド兄弟に出会い
彼らのアイデアと、そのシステムの発明を聞く序盤には
ドキュメンタリーか「プロジェクトX」のようなワクワク感がある。
しか~し。
美談になりそうな「創業ストーリー」が
どんどん黒くなっていくんですよね。
人がよく、欲のない田舎の兄弟から
レイはえげつない手段で「店」を奪っていく。
でも
憤怒しつつ、その成り行きに見入ってしまうんです。
というのも
レイが絶対的な悪か、というと
またそうとも言えないところがこの話の複雑さ。
彼のモチベーションは
あまりにもわかりやすい「アメリカン・ドリーム」だし、
しかも彼の手段は、株やら金融操作やらのマネー話じゃない。
(まあ、だんだん悪知恵をつけられていくんだけど。苦笑)
彼の努力や苦労も、実に泥臭いんですよ。
だから、レイを絶対の悪人にもできない。
そんな複雑さがこの映画、この話の深みになっていると思います。
嫌われつつも、見てしまう男を
ゴリゴリと演じたマイケル・キートンに拍手。
それにしても。
黒いものに「いいようにされてしまう」兄弟を見ていると
「自分が成功できない理由はこれか!」とわかって
まあ痛いことでした(笑)。
プレスもなかなか皮肉、効いてます(ポテト型に切り抜いてある。笑)
★7/29(土)から角川シネ有楽町ほか全国で公開。
「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」公式サイト