「聖なる鹿殺し」ヨルゴス・ランティモス監督、最新作!
「女王陛下のお気に入り」73点★★★★
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18世紀初頭のイングランド。
フランスとの交戦で揺れる国家を
アン女王(オリヴィア・コールマン)が治めていた。
17人もの子どもに先立たれた女王は
幼なじみのレディ・サラ・チャーチル(レイチェル・ワイズ)が心の拠り所であり、
それを承知のサラは、陰で完全に女王を操っていた。
ある日、サラは宮廷にやってきたアビゲイル(エマ・ストーン)を
召使いとして雇ってやる。
が、あることから女王に気に入られたアビゲイルは
サラの立場を脅かす存在になってゆき――?!
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「ロブスター」「聖なる鹿殺し」のヨルゴス監督が
アン女王の寵愛を巡る、女の駆け引きを描いた作品。
かなりの部分、史実だそうで
うへえ、女って怖え~という(苦笑)。
監督、得意の不遜と皮肉で
馬鹿馬鹿しく愚かしい人間の営みを、まあ~期待どおりに(笑)
いや~な感じで描いてくれてます。
宮廷での権力争い、しかも女同士のマウンティング、という題材は普遍だし
過剰なまでに絢爛豪華な美術と衣装に
人間のバカバカしさ、愚かさが、よく映える。
十分におもしろいのだけど
ワシ的には、逆に時代をここにしたことで
痛烈な風刺性や
本来は社会に滲み出るべきではない、でも確かにそこにある汚濁や生臭さの露呈――といった
監督の持ち味が、若干薄れてしまった、気もする。
(だってこの時代、当たり前に社会も人間関係も汚泥ドロドロだもんねー)
が、それを含んでも、やっぱり
孤独でイケてないアン女王を演じた
オリヴィア・コールマンは必見すぎる。
フリルだらけのペチコートの下にある
ある種、腐敗や臭気まで感じさせ、
かつ哀しみにも同調してしまう、快演。
そして
権力者の寵愛を得るための、この争いの、勝者は誰なのか?
結局、従属の構図は、変わらないのか――?
その後味は、しっかり現代に通じていくのでした。
★2/15(金)から全国で公開。