さあ、「普通」がこんなにおもしろいですぞ!(笑)
「半世界」76点★★★★
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とある山間の地方都市。
紘(稲垣吾郎)は、父から受け継いだ炭焼き窯で
備長炭を作る炭焼き職人だ。
ある日、自衛隊員として海外派遣されていた
旧友・瑛介(長谷川博己)が
突然、町に帰ってきた。
紘は地元の旧友の光彦(渋川清彦)にも声をかけ、
紘の妻・初乃(池脇千鶴)の手料理で、久々の酒を酌み交わす。
が、瑛介の表情は硬く、暗く、
何か深い事情があるようだった。
事情を聞くに聞けない紘たちは
いろいろ瑛介の世話を焼こうとするのだが――?
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阪本順治監督。
安心品質、は想像してたけど、それ以上でした。
稲垣吾郎氏、長谷川博己氏、渋川清彦氏、そして池脇千鶴氏――
みんな、いい!(シンプルだな、おい。笑)
舞台となる山村も、そこに居る人も、しっかり「存在」していて
心のなかに、ずっと彼らのいた形跡が残るような。いいっしょ?w
ワケありらしく故郷に戻ってきた親友・瑛介(長谷川博己)を、
悪友たち(稲垣吾郎、渋川清彦)が気にかけてやる。
瑛介の事情は深そうで、
「何があったのか」なかなか話を聞き出せないけど
しかし、故郷で人生やってきた悪友たちにも
いろいろうまくいかないことはあるんだよなあ――と、いうお話。
まず炭焼き職人という
仕事設定にすごく惹かれるものがあった。
地元で40年、それなりに生きてきた彼の
やや惰性と諦めに傾いていた日常が
旧友の帰還をきっかけに、すこーし変わっていく、
その過程も丹念でよかった。
演じる稲垣吾郎氏も
いやいや「フツー」をうまくこなしていて、びっくりしました。
地場産業の職人には、ずっと尊敬と憧れがあったけど、
監督は、その状況の大変さもしっかり見せてくれて
ちょっと切なくもなったなあ。
(そうか、焼肉屋が閉店したら、炭も切られるんだ!とか
新規開拓の営業に行くところとか。
うう、フリー稼業はつらい!)
元自衛隊員で、
意外な武闘派っぷりをみせる長谷川博己氏も
前半の沈黙から一転、
後半は「シン・ゴジラ」を思わせるハキハキ体育会系&キレた芝居で魅せるし
なにより、池脇千鶴氏のすごさに目を奪われた。
地方主婦のもっさり&どっしり感を漂わせつつ、
かわいらしさと艶もあって
夫と向き合ってミカンを食べながら、
「なーに馬鹿なこといってんの」と一笑に付す
あのシーンに
ワシ、樹木希林さんの片鱗をみましたよ(なんか、嬉し涙)。
★2/15(金)からTOHOシネマズ日比谷ほかで公開。