青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

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レッズ ~映画と読書で人物数珠繋ぎ

2019-11-22 | 青春・名画劇場

僕は読書や映画鑑賞が大好きですが、時々興味深く感じる事があります。それは、バラバラに何の脈略もなく読んで来た本の作者や、これまでに見て来た映画などが1本の線で繋がることです。

例えば1953年の11月27日は、ユージン・オニールの命日です。ユージン・オニールはアメリカの劇作家で、彼の作品はブロードウエイでも多数上演されています。また、ノーベル文学賞も受賞している、アメリカを代表する作家です。

彼のことは、僕は最初に映画で知りました。映画「レッズ」で、ジャック・ニコルソンがユージン・オニールを演じていたからです。映画「レッズ」(Reds)は、1981年に製作されたアメリカ映画。1917年に起きたロシア革命と、その革命を記録したアメリカ人ジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いています。ジョン・リードを演じたのは、「俺たちに明日はない」「天国から来たチャンピオン」等に出演、ハリウッドのプレーボーイと呼ばれたウォーレン・ビーティで、この作品では監督も務め1981年度アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞しています。

ジョン・リードは、自身の体験をロシア革命のルポルタージュとしてまとめ、「世界を揺るがした10日間」を刊行しました。彼はモスクワでチフスのため死去し、現地で葬儀が行われた後、アメリカ人でありながら、ソ連の英雄として赤の広場にあるクレムリンの壁に埋葬されました。アメリカ人でこの場所に埋葬された人物は、彼とアメリカ共産党書記長だったチャールズ・ラッテンバーグ、世界産業労働組合の指導者ビル・ヘイウッドだけです。

僕は共産主義は嫌いですが、「世界を揺るがした10日間」は読みました。そのジョン・リードとユージン・オニールが友人で、左寄りの思想だったことを思い出しました。アメリカにおいて共産主義と言えば、赤狩りを思い出し、赤狩りと言えば、僕はハリウッドから追放された(後にアカデミー賞名誉賞を受賞し、名誉を回復しました。)チャールズ・チャップリンを思い出します。そこで、また1つの繋がりを思い出しました。ユージン・オニールの2番目の妻との間に生まれた娘ウーナは、喜劇王チャールズ・チャップリンの最後の妻だったのです。

ユージン・オニール~ジャック・ニコルソン~ジョン・リード~ウォーレン・ビーティ~チャールズ・チャップリンと、大物5人の名前が繋がりました。今の若い人たちは、何人を知っているでしょう?

ユージン・オニールはアルコール中毒、自殺未遂、放浪、家庭崩壊、孤独といった自らの経験を元に、アメリカに潜在する悲劇的なビジョンをリアリズムで表現しました。オニールにとって、アメリカの悲劇の源泉は「アメリカン・ドリーム」でした。人間の中にある物質的な欲望を解き放った「アメリカン・ドリーム」を、彼は「たとえ全世界を手に入れても、己の魂を失うならば、何の利益があるだろうか」というマタイ伝の言葉を引用して、痛烈に非難しました。

最後に、これを書いていると音楽が頭の中に流れて来ました。「インターナショナル」です。(笑)社会主義・共産主義を代表する曲で、ソビエト連邦では十月革命(1917年)から第二次世界大戦(1944年)まで国歌になっていましたし、日本でも労働歌として歌われていた曲です。

しかし、この曲は実は共産主義の為に生まれたわけではなく、ソ連や中国の誕生以前からあった曲だということを、事実として知っておくべきです。そもそもこの詩は誕生した時は、フランスの「ラ・マルセイエーズ」の曲にあわせて歌われていたのです。僕は左思想は基本的に好きではありませんが、「インターナショナル」や、ロシア民謡のメロディは、なぜか大好きです。小さい時に聴いた「パルナス」の曲のせい??(笑)ちなみに映画レッズは、「インターナショナル」をフルコーラス流した、唯一のアメリカ映画です。