青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

「そよ風の誘惑」~初めて買ったレコード

2015-09-13 | 青春の音盤

たいていの人が、ある程度の年齢になると音楽に興味を持ち始めます。僕の友達の多くが小学生の時に、「ベスト30歌謡曲」という水曜夜8時のTV番組を見て、学校で歌の話題を口にし始めました。学校の女子は西城秀樹のカッコ良さを話題にしていたし、男子も女性歌手を気にし始めていました。洋楽大好きの僕も、この番組を見ていたおかげで、今でも古い歌謡曲を口ずさむことができます。

そして次に、誰もがお気に入りのレコードの1枚や2枚は買う事になります。

僕は自宅で親が買って来るビートルズやストーンズ、プレスリーを聴き慣れていたので、正直歌謡曲には、レコードを買うほどの興味が湧きませんでした。友達はアグネス・チャンや山口百恵のレコードを買い始めましたが、僕は親が買っているレコードを聴いていました。

そんな僕も、ついに自分自身で、自分の小遣いで、レコードを買いました。その記念すべき最初の1枚は、オリビア・ニュートン・ジョン(Olivia Newton-John)の「そよ風の誘惑」(Have You Never Been Mellow)でした。家でFM放送を聴いていると、女性歌手の綺麗な声が流れて来ます。メロディも綺麗です。それまで聴いていたビートルズやストーンズとは全く違う趣の歌を、僕はすぐに気に入りました。

レコードにはシングルとLPがあり、友達がシングル盤を、僕の親がLPを買っていたこともあったせいか、「シングルは子供が買うもので、LPこそが大人が聴くもの」というような意識を持っていた僕は、レコード屋さんに行き、洋楽コーナーで彼女のLPを探しました。見つけて何よりも驚いたのは、オリビアが美人だったこと!(笑)こんな綺麗な女性がいるのかと一目ぼれ状態でした。

初めて買ったレコード代の2,500円は高かったけど、その美貌に迷うことなくレジへ!家に飛んで帰ってレコードに針を降ろすと、A面B面あわせて全12曲を一気に聴きました。そよ風の誘惑だけではなく、その中には彼女にグラミー賞最優秀レコード賞と最優秀女性歌唱賞をもたらした「愛の告白」、何度も聴くうちにこのレコードで1番好きになった曲「プリーズ・MR.プリーズ」、ジョン・デンバーでお馴染みの「グッドバイ・アゲイン」「フォロー・ミー」も収録されていて、いわゆる「捨て曲」が1つもありませんでした。

歌詞カードの英語を見ながら、オリビアの歌を毎日聴きました。中学1年になったばかりの僕は、英語を見ても意味が分かることはありませんでしたが、英語と対訳を見比べているうちに、少しずつ単語を覚えて行きました。また、オリビアの歌声を聴くのは心地良く、英語という学校教科に、それまで以上に興味を持つようになりました。

ロック歌手の見た目に引いてしまい、ロック(洋楽)=不良というイメージを残念なことに持つ僕の友人もいましたが、オリビアの祖父はアインシュタインとも親しかった学者でノーベル賞受賞物理学者マックス・ボルン、父親はケンブリッジ大学のドイツ語教授ということをライナーノーツから知った僕は、逆に洋楽=英語=賢いというイメージを、この時に持ったようです。(笑)

LPを買うと、レコード屋のおじさんがポスターを付けてくれました。綺麗なオリビアのポスターでしたが、親に見られるのが恥ずかしく、それを壁に貼ることはありませんでした。