青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

「大きな古時計」物語 1

2018-04-05 | 雑学(教養)の部屋

僕はアメリカ民謡に興味を持っています。僕の小学生時代には、学校で教えていた歌の多くが、アメリカ民謡でした。「アルプス1万尺」は「ヤンキー・ドゥードル」(Yankeydoodle!)。「線路は続くよ」は「I've been working on the railroad」という題名で、過酷な日々の連続であった鉄道工夫達の悲哀に満ちた唄が原曲です。

日本では「雪山賛歌」として愛唱され、ジョン・フォード監督の名作西部劇「荒野の決闘」の挿入歌としても広く親しまれ、映画の原題にもなったのは、「My Darlin' Clementine」。「John Brown's Body」という曲は、南北戦争時代に北軍で勇猛果敢な活躍をした実在した人物ジョン・ブラウンを歌った戦意高揚唄であり、その歌詞もジョン・ブラウンの死体を乗越えて出撃!というもの。しかし日本では、これが「権兵衛さんの赤ちゃん」として知られている。どこでどう変わったのか、非常に興味がある所です。

では「Grandfather’s Clock 」は、日本では何と言う歌で広まっているでしょう?日本の歌と細かいところで違いがあります。ご存知ですか?

そう、「大きな古時計」、原題は「Grandfather’s Clock」です。日本でも古くから親しまれてきた歌ですが、実際の歌詞では動いていたのは1100年はなくて90年。そして実は大きすぎて吊るされていたのではなく、床に放置されていたのです。

 

「大きな古時計」を聴く

 

Grandfather’s Clock / 大きな古時計

My grandfather's clock was too large for the shelf,
So it stood ninety years on the floor.
It was taller by half than the old man himself,
Though it weighed not a pennyweight more.

It was bought on the morn of the day that he was born,
And was always his treasure and pride.
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.

Ninety years without slumbering, tick, tick, tick, tick,
His life seconds numbering, tick, tick, tick, tick,
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.

In watching its pendulum swing to and fro,
Many hours had he spent as a boy.
And in childhood and manhood the clock seemed to know
And to share both his grief and his joy.

For it struck twenty-four when he entered at the door
With a blooming and beautiful bride.
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.

My grandfather said that of those he could hire,
Not a servant so faithful he found.
For it wasted no time, and had but one desire.
At the close of each week to be wound.

And it kept in its place, not a frown upon its face,
And its hands never hung by its side.
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.

It rang an alarm in the dead of the night,
An alarm that for years had been dumb.
And we knew that his spirit was pluming for flight,
That his hour of departure has come.

Still the clock kept the time, with a soft and muffled chime,
As we silently stood by his side.
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.


おじいさんの時計は棚に置くには大き過ぎ
90年もの間、床に置かれていた
おじいさんの背丈より半分以上も大きかったが
重さはおじいさんの体重と1グラム程も違わなかった

その時計はおじいさんが生まれた日の朝に買ってきた
いつもおじいさんの宝物であり誇りだった
でも突然止まって、動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に

90年間も休まずに チク、タク、チク、タク
おじいさんの人生の一秒一秒を刻むように チク、タク、チク、タク
でも突然止まって、もう動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に

時計の振り子が揺れるのを見ながら
おじいさんは少年時代を過ごしてきた
その時計は知っていたんだ おじいさんの子供の頃も青年の頃も
そしておじいさんの悲しみや喜びさえも

おじいさんが美しい花嫁と一緒に部屋に入ってきた時
時計は鐘を24回鳴らして祝福したのさ
でも突然止まって、もう動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に

おじいさんが言っていた 彼が雇った者の中で
時計ほど忠実な召使いはいなかったと
時間を無駄にせず 望みといえばただひとつ
週に一回ネジを巻いてもらうことだけ

自分の居場所にとどまって いやな顔一つしない
両手をだらしなくぶらさげることもない
でも突然止まって、動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に

時計が突然真夜中に鳴った
何年もの間鳴っていなかったのに
僕たちは分かっていた おじいさんの旅立ちの時が来た事を
おじいさんの魂が天へ昇って行ったんだ

時計は柔らかくやさしい音色と共に 時を刻み続けていた
僕たちがおじいさんのそばに立っている時も
でも突然止まって、もう動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に

この曲はアメリカ人である作詞・作曲者のヘンリー・クレイ・ワークが、イギリス巡業の際に宿泊した「ジョージ・ホテル」という名のホテルで聴いた、あるエピソードが元になって誕生しました。今日はこの歌の歌詞をご紹介しましたが、次回はこの曲の誕生に至るまでのストーリーをご紹介します。お楽しみに!