なぜ日本では年末になると、ベートーベンの第九を演奏するのでしょう。年末恒例の音楽会になって来たのは、1970年頃からです。この曲は、フル・オーケストラを前にして4人の独唱者、そして大合唱団が並ぶ、曲も演奏風景も壮大な交響曲です。特に合唱部分は、日本では知らない人がいません。大掛かりなので、欧米では演奏される回数は、決して多くはないようです。
しかしこの1曲が、1年の終わりに近くなり気持ちの上でも、また町中の雰囲気にしても、何となく騒然としてくる日本には、なぜかぴったりと来るのです。更にお祭り好きの日本人は聴くだけではなく、合唱団の一員として参加することが夢となって行きます。そして、日本全国で各地域のアマチュア合唱団が、続々とこの曲を企画するようになりました。
入場料の収益の1部はチャリティーにするなど、名目も十分で、日本では、第九がないと年末の気分にならなくなってしまいました。
・・・ここまでは表の理由。(笑)
では年末にこの第九が、日本中のあちこちで演奏される本当の理由って?
これを演奏すると、年末のコンサートはまずフルハウス(満員)になります。その利益が楽団のメンバーのボーナスに。つまりボーナスを支給する為なのです。