中学生になって、自分のお金で初めてのLPを購入!2500円は決して安い金額ではありません。だから、ライナーノーツに書かれた情報は全て読み、ジャケットを表裏眺め、ライナーの小さな白黒のアーティストの写真を見て、歌詞も覚えるほど何度も曲を聴きました。
思えば、洋盤の歌詞カードほど、何度も何度も繰り返し見た英語の文章はありません。(笑) LP1枚分の歌詞の英語を全部暗記していたのですから、これは凄い。高校・大学・TOEIC全ての試験において、この結果的丸暗記は大貢献をしています。いろいろな言い回し、熟語、前置詞、単語、全て意識しなくても身に付きました。
「レコードを擦り減るほど聴く」と言ったように、当時の僕はレコード盤が何度も聴いていると、本当に溝がレコード針との摩擦ですり減ってしまうと思っていたので、カセットテープに録音し、テープを何十回と聴いていました。本当は1000回を超える再生でも、擦り減らないそうですが・・・(笑)
洋画が好きだった僕は、テレビで放送されている映画はゴールデンタイムも深夜放送も見ていましたが、中学生になった頃からは、劇場にも通い始めました。小学校6年の終わり頃には、雑誌「ロードショー」を読み始め、いろんな名作映画が世の中にはあることを知りましたが、なかなかそれらをテレビでは見ることが出来ません。当時はレンタルビデオもレンタルDVDも無い時代です。しかし、劇場ではリバイバル上映で見る機会がありました。
70年代に流行した「アメリカン・ニューシネマ」が、丁度リバイバル上映していた時期で、「明日に向かって撃て!」「俺たちに明日はない」などには夢中になりました。その中で、もう1本忘れられない映画が、「卒業」でした。チラシだけ見ると、ものすごくいい青春映画だと思いませんか?僕もそう思っていました。
正直、映画は名作と言われていましたが、全く面白くなかった!ダスティン・ホフマン演じる主人公が、年上の女性ロビンソン夫人と肉体関係になる。ところが次にその娘を好きになる。ロビンソン夫人は、自分の若いツバメが自分の娘と付き合うことに反対して引き離すも、主人公は結婚式の最中その娘を奪って2人で式場を後にする・・・。今もそうですが、中学1年の僕はこの作品のどこが良いのか理解不能でした。
ところがこの映画の音楽が良かったのです。「サウンド・オブ・サイレンス」「四月になれば彼女は」「スカボロー・フェア」・・・それまでに聴いたことのない美しいメロディでした。映画のパンフレットによれば、曲を作ったのも、歌っているのもサイモンとガーファンクルという、学生時代からのお友達コンビでした。
これは聴きたい!レコード屋に行くと、「卒業」の映画のサントラLPがありました。劇場で気に入った曲が全曲入っています。ところがそのジャケットが、ダスティン・ホフマンとミセス・ロビンソンの脚!こんなの買いたくない・・・そう思ってジャケットを眺めていると、突然後ろから声をかけられました。(続く)