昔は1インチ1万円と言われた大画面テレビ。今は本当に誰でも買うことが出来るほど、安くなりました。政府が地デジ化というイベントを作り、エコポイントまで設けて全国民に半ば強制的にテレビを買い替えさせたのが、ほんの10年少し前だったことを、もう忘れてしまいそうです。
大画面テレビ。僕が大学生から社会人の時代に本格的に流行しました。サラウンドのステレオシステムを内蔵したアンプなども、テレビとセットで発売され、これに手持ちのBOSEやヤマハのスピーカーをセットして、ホームシアターを作るのがブームになっていました。今では当たり前のような5.1chドルビーサラウンドですが、昔のサラウンドは後方から音が出ていれば猫も杓子もサラウンドと呼ばれて、みんながどこか違うと思いながらも、システムのグレードアップを目指していました。(笑)
4つのスピーカーから音が出ているけれど、今の5.1chサラウンドとは似ても似つかない効果でも、サラウンド内蔵のAVアンプが売れたものです。
僕の友人たちはそれでも、大画面TVとサラウンドシステムを買い始めましたし、中にはプロジェクターを買って本当にホームシアターを作るべく、莫大なお金をつぎ込んでいる友人もいました。映画大好きな僕が、大画面テレビ(と言っても29インチでしたが、当時はこれでも大画面!)を買ったのは、忘れもしない1986年の4月の第2週でした。24回払いのローンを組んで、友人がナショナルのお店を経営していたので、そこから買いました。
「おい、大画面テレビ買うぞ!その代り、明日持ってきてくれ!」と。完全な衝動買いでした!(笑) それが上の写真の「画王」でした。
当時、ゴルフ界の帝王ジャック・ニクラウスが不振にあえぎ、もう二クラウスも終わり・・・と言われていました。もしそうなら、二クラウスの雄姿を見る確率が1番高いのは、彼が過去に5回も優勝したマスターズ・トーナメント以外にはない。それで、86年のマスターズを綺麗な大画面テレビで観たいと思い立ち、購入しました。「画王買うから。そのかわり明後日までに持ってきて」。という私に、「買ってくれるのは嬉しいけど、すぐ持って来いは無茶やな」と友人も嘆いていました。引っ越しシーズンの時期ですから、当時大人気だったナショナルの「画王」は品薄だったのです。
初日、2日目を終わり、二クラウスの順位は良くありませんでしたが、予選通過。昔は衛星中継されていたのは、3日目と最終日だけでしたから、予選落ちされては何の為にテレビを買ったのか分からないので、ホっとしました。そして迎えた最終日、奇蹟の大逆転優勝を46歳の帝王がやってのけるのを私は、大画面テレビで見たのです。最終日の最後の9ホールで6アンダーでの大逆転優勝を、テレビの前で大声で応援していたのは私です。大画面テレビ、買って良かったと心から思いました。
昔の大画面テレビはブラウン管なので、奥行き寸法がすごく必要でした。更に、テレビの重さは50キロ以上あり、1人で配置換えするのは大変な労力が必要でした。1階から2階へ運ぶなんてことになると、友人たちの応援が必要なのを思い出します。