「ローズ」という曲をご存知ですか?とても美しいベット・ミドラーの曲です。同名映画の主題曲ですが、この曲をFM放送で初めて聴いた時、その曲の美しさに1発でKOされました。この主題歌は今や、数多くの歌手がカバーし、スタンダード・ナンバーになっています。
サントラのライナーを読むと、主人公のローズはジャニス・ジョプリンをモデルにしているとのこと。彼女は1971年に、たった4年間というキャリアを駆け抜け、ドラッグで亡くなったシンガーで、僕はあまりいい印象を持ちませんでした。
ジャニス・ジョプリンは高校卒業後、黒ずくめのファッションに身を包み、コーヒーハウスで詩を朗読していました。23歳の時、モントレー・ポップ・フェスティバルに登場し、大きな注目を集めるようになりました。ジョプリンは、「ボール・アンド・チェイン」を絶叫したという方がふさわしい荒々しい歌声で、衝撃的なデビューを飾りました。
魂のこもった圧倒的な歌唱力と特徴のある歌声により、1960年代を代表する歌手として活躍、彗星のように現れ、疾風のように60年代を駆け抜け、27歳で燃え尽きました。つかの間の激しい愛と、深い失意、成功と挫折を繰り返す人生だったといいます。
彼女の遺した言葉・・・
“On stage I make love to twenty-five thousand people, then I go home alone.”
(ステージの上で、25,000人の観衆とセックスして、ステージが終われば、一人ぼっちで家に帰るの。)
とても孤独な人生だったでしょう。そういうことを知って、映画「ローズ」を余計に観てみたくなった僕は、1980年の冬に劇場で観ました。映画は、痛々しい映画でした。僕が大好きなジョン・ウェインの晩年の名作「11人のカウボーイ」を撮った、マーク・ライデル監督の作品だから、主題歌の美しさと「ローズ」という題名から、きっと名作に違いないと思ったのですが、後味の悪い映画になりました。痛々しく、華やかなロック界とは裏腹な主人公の人生が描かれていました。
昔は年末年始の深夜に、TVでいつも放送されていました。