アーバンライフの愉しみ

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いつもの~日本文芸家協会編「代表作時代小説」

2015年02月07日 | 読書三昧
昨年末、26年版を読んだばかりなのだが、収められた短編ひとつひとつの魅力に惹かれ、今度は25年版(通巻第59巻)を借りて来て読んだ。



平成24年中に各誌に掲載された短編時代小説の中から珠玉の作品17編が収められている。

いつものことながら、北原亜以子、葉室麟、伊藤潤 火坂雅志、諸田玲子氏など、常連作家の作品は限られ、大半は新人・無名の作家によるものだが、多くの作品の中から選ばれただけあって、どれも読み応え十分だ。

今回、特に感心しながら読んだのは、青山文平氏の「春山入り」。
かって競って剣に励んだ幼なじみの3人は、それぞれ歳を重ね、ひとりは藩の重職に、他は望んで帰農した。主人公は、今もうだつのあがらぬ馬回り組で、妻とともに幼くして亡くした子供の歳を数えて暮らす・・・。

また、権謀術策に長けた「石田三成」と、すぐれた算術で兵站を担った「長束正家」が組むことで完勝するはずだった「関ヶ原」で、皮肉にもそれが破綻を招いたとする伊藤潤氏の「戦いは算術に候」も面白かった。ご一読をお薦めします。(お勧め度:★★)
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