第163回令和2年上半期芥川賞受賞作。(他の1編は、遠野遥さんの「破局」)
沖縄の名もなき私設資料館に入り浸って成長した(孤独な)主人公が、これもまた孤独な人々に対し、リモートで謎々を送りつける仕事に従事するなど、常識ではとても理解できないようなシチュエーションの下、必死に生きていく姿がいじらしい。
途中から、主人公のかけがえのない友として、沖縄特産の「宮古馬」が登場。
なにやらユーモラスな要素もあり、(作者の手練手管にのせられて)最後まで読まされてしまうのだが、後にはまぁ何も残らないという(芥川賞受賞作らしからぬ)小説である。
登場人物が限られているせいか、視点が定まった文章は読みやすく且つ、シリアスにならないのが良い。