幕末、幕府の開国政策を緻密な頭脳と実行力で支えた「小野友五郎」の半生。「小説現代」掲載、332頁
安政7年(1860年)横須賀からサンフランシスコに向かった咸臨丸に乗船。天測によって太平洋横断を導いた彼と彼のクルーに賞賛が集まった。
その後、主人公は和製軍艦の建造計画を軸に、数々の難題に挑戦。最後は、大阪にあって幕府軍の兵站までも担当するが、薩長の攻勢に撤退を余儀なくされ維新を目のあたりにする。
幕末の騒動を幕府の側から描いた点や、勝麟太郎(海舟)や福沢諭吉に対する負の評価に新鮮さを感じるが、文章それ自体は、中学生の作文に毛が生えた程度でいただけない。