第162回直木賞受賞作。
文藝春秋社刊、書き下ろし832枚426頁の大作。
滅びて良い文化などない。支配されるべき民族などない。
施政権がロシア、日本と代わる激動の時代に、そこ(樺太)には地を這って生き抜くアイヌの人々がいた。
そして、その原動力となった「熱」とはいったい何だったのか。
先に、ウポポイを見学してアイヌ文化の持つポテンシャルの高さに圧倒されたが、それを実感させる本書を真剣に読んだ。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)
選考委員選評:林真理子氏
「群を抜いていた。候補作の中で、いちばん小説らしい小説であった。人間にとって民族とは何かという大きな命題に、正面から立ち向かっていく姿勢にも好感が持てる。」