「アカペラ」「ネロリ」「ソリチュード」という作品が収録された短編集。
山本文緒というひとは、人がいい感じを装いながら毒を含んでいる。
小説のはなし。普通に主人公に寄り添いながら読み進めると読み手は「うっ」となったり溜息をついたり。
たぶんこれは一般的なハッピーエンドではない、でも、読後感が悪いのではなく「なにか」を感じさせるし、もしかしらこの人はこの先…などという想像をしてしまいたくなる。とはいえ作品世界で完結はちゃんとしている。
そう思うと『自転しながら公転をする』は、この短編のように途中で終わった作品の先が書かれているように思える。