シネマ歌舞伎 野田版 研辰の討たれを見ました。これで5作目となるシネマ歌舞伎。今まで見なかったのを後悔するくらい面白かった!
木村錦花原作の歌舞伎狂言「研辰の討たれ」を、野田秀樹が新しい視点で書き直し、演出した舞台。平成13年8月の納涼歌舞伎で初演され、大ヒットとなりました。平成17年5月歌舞伎座において、十八代目中村勘三郎襲名披露狂言として再び上演された舞台が、シネマ歌舞伎としてよみがえります。
おはなし
赤穂浪士討ち入りのニュースは、江戸から離れたここ近江の国、粟津藩にも伝えられ、剣術の道場はその話題で持ちきりです。しかし一人だけ、赤穂浪士を馬鹿にする人物がいました、もと町人、研屋あがりの守山辰次です。仇討ちなんて馬鹿馬鹿しい、武士といえども潔い死を望まない武士もいる筈だと言い出す辰次を、家老の平井市郎右衛門が叱り付けました。すると現実的で抜け目ない辰次はすぐに態度を変え、剣術に優れた市郎右衛門に剣術を学びたいとお追従を言う始末。主君の奥方、萩の江の前で、市郎右衛門に散々に打ち据えられて、辰次は仕返しに一計を案じますが・・・
野田秀樹演出だからか分かりやすく、面白い。でも、3年前の上演だからギャグが微妙に古く、アンガールズや波多陽区などを模した場面も登場します。きわめつけは中村獅童。劇中で「結婚するやつもいるのに」そうです、当時は電撃結婚発表の直後。よもや、映画上演時にこんなことになっているとは。
ほかにもアドリブっぽいセリフがあって、勘三郎さんが自分を殺そうとしている人に向って(息子の勘太郎)「あなたは本当はやさしい人だ!揺れたかどうかも分らない震度3の地震で彼女にすぐ電話して<いま大丈夫だった?>と聞くようなやさしい人だ!」苦笑する侍。
筋自体は上を読んでいただければ。そこは論じるほどの歌舞伎の知識もないのでパスします。素人でも分かる見どころは沢山!染五郎&勘太郎の殺陣やアクションは素晴らしく、中村志のぶさんは女?と思うようなお声と姿。全身白塗り&ふんどし姿のからくり人形(演じるは片岡亀蔵さん)を見たらそら脳卒中にもなるってもんです。ちなみに件のからくり人形はこちら↓
怖い。刀持ってなぜか森山直太郎の「桜」を熱唱…。これ見てびっくりして家老が死んじゃうのです。
学生時代は歌舞伎やら文楽、狂言など連れていってもらって、もっと見たい!と思ったのですが、自分で調べてまではなかなか。すぐに見に行ける映画で歌舞伎を見るのはいいですね。歌舞伎が好きな人も顔アップで演者の姿を見ることはないでしょうから、また違った視線で見られていいのでは?
難を言うとなぜかこの作品だけ
前売りなく一律2,000円なのです特別興行のため割引がないのです。値段を下げてもっと見やすくする方が歌舞伎を見たい人が増えていいような気もするのですが。やっぱり敷居が高い歌舞伎界。
また、生でも見てみたいもんです。