Veneziaの記事を書く時、
ふと思い出してしまう出来事がいくつかあります。
先日もそうでした。
その中の一つが Veneziaには欠かせないバポレット(水上バス)の中でのこと。
それが、ジュデッカの路線だったか、
カナルグランデだったのか、
友人と一緒だったのか、ダンナとの旅だったのかは
思い出せないのですが、
ただ バポレットがすごく混んでいて、
デッキ周辺にいた私は、連れとも離れ離れになって、
学生や観光客の群れの中で身動きできないような状態でした。
若者で溢れる群れの中に、小柄なイタリア女性がいました。
パッと見た限りでは、私よりだいぶ年上のようなかんじ。
ぎゅうぎゅう押されて、
小さいシニョーラは沈んでしまいそうに私には見えたのでした。
思わず近ずいて「シニョーラ、よかったら私の手に捕まってください」と
申し出ました。
その人はにっこり笑って、
「ありがとう、あなたの手はとても暖かいのね」
と言って、私の手をぎゅっと握ったのです。
ー この人を守っていこう ー
と、思う間も無く、
シニョーラは、私の手を握ったまま、
「はいよ、ごめんなさいねー」と、若者の波を押しのけて、
椅子席のある中に入って行きます。
その力はかなり強くて、びっくり。
「ちょっと通してね。はいはいごめんなさいね」
と、すごく慣れている感じがしました。
夕方のバポレットは中も満員でしたが、
椅子の若者はシニョーラがそばに立つと、
スルスルと立って、席を譲ります。
いくつか席が空くと、シニョーラは私を窓際の席に座るように招き、
「あなたはどこで降りるの?」と聞きます。
私が目的地を告げると、
「まだ先ね。私は次で降りるの。ではまたね、ありがとう。」
と、去って行きました。
座ったばかりなのに・・
あ、だから満員のデッキでも立っていたんだ。。。。
彼女を守るつもりが、反対にお世話になってしまったとは。。。
それにしても 小柄なシニョーラ、
力強い引っ張り方で頼もしかったなあ。
もしかして、年上ではなかったのかも。。。ね。