1988年の記念行事の一つとして、ニッポン・オクテットによるクラシックコンサートがあった。ニッポン・オクテットという八重奏団は、ヨーロッパに在住する演奏家グループで構成され、ヨーロッパ各地で年一回コンサートを開いていたが、当時タイアップして、プロモーション活動を行うことになったのである。日本で初めてコンサートを行うことが決まり、それに先立ち、フランクフルトでもプレコンサートを行い、その模様を機内のプロモーションビデオで放映することになったものである。
ニッポン・オクテットのリーダーは、当時、ベルリン・フィルの第一コンサートマスターであった安永徹さん(第一バイオリン)で、他にコントラバスの河原泰則さんは、ケルン放送交響楽団の首席、チェロの山下泰資さんは、スイス国営ルガーノ管弦楽団の首席奏者という具合に、蒼々たる演奏家で構成されていた。特に安永さんは、彼がベルリン・フィルにいるので、小澤征爾さんはベルリン・フィルには入れないとも言われたほどの名演奏家である。
いざコンサートを開催することになると、初めての経験で慣れていないこともあって、会場探しから始まり、メンバーの宿泊手配、プログラムの作成、PR告知活動、コンサートの進行、演奏会後の打ち上げ手配等となかなか大変な作業の連続であった。特に会場は400人位収容できるホールを探したが、急に決まったことや音響効果がポイントの一つでもあったので、なかなか見つからず、フランクフルトから数十キロ離れたヴィスバーデンという町のホールまで下見に行ったほどである。 最終的には、フランクフルトで適当な会場を見つけることができたが、先方の都合で、開催直前に別の会場に移動させられる羽目になった。ポスターやプログラムは、すべてシールを貼って対応することになったが、今考えるとよくスムーズに対処できたものだと我ながら感心する次第である。
演奏曲目は、ブラームスのピアノ五重奏曲 へ短調作品34及びベートーベンの七重奏曲 変ホ長調 作品20 であった。この2曲については、練習風景から始まり、本番、それにその後、テープやビデオで何度も聴くことになり、今では、自分の好きなクラシック音楽のベストテンに入るほど馴染みの深い曲となった。クラシック音楽については、全くの素人で、ドイツに行ってから時々コンサートに行くようになったが、このコンサートがきっかけで、クラシック音楽も好きなジャンルになっていった。
オクテットによる演奏曲は残念ながらYoutubeにないが、他の楽団が演奏した同じ曲を聴くことができるので、今でも時々聴いて、当時を懐かしんでいる。ともに大変いい曲なので、是非とも一度は聴いてほしい。
ブラームスピアノ五重奏曲へ短調作品34:
https://www.youtube.com/watch?v=haBMWnuQWes
ベートーベンの七重奏曲変ホ長調作品20:
https://www.youtube.com/watch?v=Roz3ToVR8zk
写真は、コンサートの様子