作家の村上春樹氏が自らDJを務めるラジオ番組「村上RADIO」の番組内で、菅首相を痛烈に批判し、「この人、聞く耳をあまり持たないみたいけど、目だけは良いのかもしれない。あるいは見たい物だけ見ているのかも知れない」と一刀両断したというニュースが流れていて、極めて痛快な思いであった。「新型コロナの感染拡大は世界で一進一退を繰り返していますが、長いトンネルに出口が見え始めています」と菅首相がIOC総会で述べたことに関連しての村上氏の皮肉を交えたコメントであるが、まさにその通りで、我々には、とてもじゃないけど、出口は見えていないが、菅氏はまさに目だけは良いようである。
菅政権のコロナ対策は、間違った医療情報に基づき、お酒を提供する飲食業を悪者にする等トンチンカンな対策を繰り返すだけで、国民の反対を無視してオリパラも強行開催し、今や、コロナ患者の大半を病院に入院させることができず、全国で11万人以上もの自宅療養(放置)者を生みだすほど医療崩壊を引き起こしているだけである。聞く耳を持たないから、都合のいい情報だけに耳を傾け、耳障りなことを言う人は平気で左遷したり、排除したりするから、回りにはイエスマンしか残っていないと思われる。まさに「裸の王様」だが、哀れなことに本人は気付きいていないようである。政府のコロナ対策はほぼ無策なので、人災ともいえる。それでも、菅さんには出口の灯りが見えているというのだから、羨ましいかぎりである。
村上氏といえば、何度もノーベル賞候補になるほどの作家であるが、まさに、非の打ちどころがない的確なコメントである。国民は皆同じ思いで、政府のコロナ対策を見ていると思われる。菅さんは、オリンピックの最初の金メダリストに直接電話をかけたようであるが、たとえ村上氏がノーベル文学賞を取ったとしても絶対電話をかけないと容易に想像できる。そんな人間なのである。こんな緊急事態の中でも、国会も開かず、幹事長交代ののろしを上げる等旧態依然とした自民党の政局にうつつを抜かしているとは、もう呆れ返るばかりである。菅さんは、これだけ国民から支持されていないとわかっていながら、次期の総裁・総理をめざすとはたいした度胸の持ち主である。潔く失政の敗北を認め、辞任することで男をあげてほしいものである。
一月万冊の考察(8/30): https://youtu.be/Rmqrgrp_Fq8