浪漫飛行への誘(いざな)い

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桂米丸さんの訃報に合掌

2024年08月06日 06時16分54秒 | 芸人

落語芸術協会最高顧問の桂米丸さんが1日、99歳で老衰で死去したとの訃報ニュースが流れた。1946年、古今亭今輔に入門し、49年、真打ち。新作落語を得意として、テレビの寄席番組でもよく見ていたが、新作落語が面白く好きな落語家さんの一人であった。76年、日本芸術協会(現・落語芸術協会)の会長に就任し、長く協会の指導役を務めた。落語芸術協会によると、現役最高齢という。92年、紫綬褒章、98年に勲四等旭日小綬章を受章。晩年まで活動し、最後の定席の寄席の出演は2019年の新宿末廣亭だったという。

そんな米丸さんとは個人的に仕事上でご一緒させてもらったことがあり、より親しみを感じていたので、残念な限りである。米丸さんとは、1987年2月12日(当時61歳)にミュンヘンで〇〇名人会という寄席の催しがあって、ご一緒させてもらった。当時、フランクフルトに駐在していたが、ミュンヘンでのイベントのお手伝いに行ったものである。ミュンヘン公演の後、一行は、フランクフルトに移動し、1泊の後、帰国されたものである。

ミュンヘンでは公演後、日本食レストランで一緒に食事をする機会があったが、フランクフルトでも、会食する機会があった。また、会食後に米丸さん一人を夜の街に案内することがあったが、えらく感謝された。というのは、日本では顔が知られているため、夜の街には出かけられないが、そのような機会が得られたことに感謝されたものである。落語家さんにとっては、夜の繁華街への体験は、講座での話のネタになるので、大事にしているとのことであった。あれからもう38年も経つが、懐かしい思い出としてずうっと残っている。99歳で老衰とのことで、天寿を全うされたと思われるが、ご冥福をお祈りする次第である。


写真はミュンヘンでの食事会(中央が米丸師匠)

読売オンラインニュース(8/5):https://www.yomiuri.co.jp/culture/20240805-OYT1T50105/


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老後は非マジメのすすめ

2023年04月07日 09時50分08秒 | 芸人

ひょんなことで、立川談慶なる落語家のことを知った。ウィキペディアによると、「落語立川流真打で著述家。本格派(本書く派)落語家」とあり、慶應義塾大学卒初の真打でかの立川談志さんのお弟子の一人である。調べたら、何と書いた本は20冊を超えており、そのいくつかを図書館で借りて読んだ。タイトルを見ただけで読みたくなうような印象。例えば、「老後は非マジメのすすめ」「不器用なまま踊りきれ」「人生、オチがよければすべてよし!」とか。。。

談志さんのお弟子としては、立川志の輔さんや立川志らくさんが有名であるが、談慶さんは、本人曰く、真打になるのに14年もかかった出来の悪い落語家であったという。談志さんとは35年も前のことだが、ドイツにいた時、色々話す機会を得たので、その人となりを実感していて、親しみを覚えていた。

早速、「非マジメのすすめ」をさっと読んでみたが、印象に残った箇所は、「年を取って、目が悪くなるということは、もう細かい字は読まなくてもいいってこと。歯が悪くなるってことは、硬い肉は食うなってこと。耳が悪くなるってことは、雑音は聞かなくてもいいってこと」と談志師匠はよく言っていたという。

列にきちんと並ぶとか日本人は基本マジメで、代々そのDNAが引き継がれている。落語は、そんな生マジメさに好感を持ちながら、どこでクスッと笑うような作りで仕立て上げられている。マジメは美徳だが、基本、他者を許容しない。突き詰めれば戦争へとつながりかねない。生マジメは高く評価すべきだが、マジメ、不マジメの二元論ではなく、非マジメな風情が大切だという。

作者は、前座9年半という長い下積みを食らったのは、談志さんから「おまえはマジメすぎるんだ」というメッセージだったという。「シャレがわかる」という落語家として大切な体質やセンスを身につけるのに手間取ったという。非マジメに生きることは、したたかに生きることと同義語かも知れないという。非マジメ思考は、まず許容が前提となる。「自分もいい加減なんだから、人のいい加減をも認めてあげよう」という了見である。マジメな人は他人もマジメであると思い込みがちである。非マジメになると他者を許せるようになり、結果として笑いのセンスも身につくような気がするという。もうすでに老後になっているが、すすめに従い、マジメを卒業して非マジメの世界に入ることとしたい。

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落語家の三遊亭金翁さんの訃報

2022年08月28日 09時15分53秒 | 芸人

 

落語家の三遊亭金翁さん(4代目金馬さん)が93歳で亡くなった旨のニュースが流れていた。名前を聞いただけでははじめは誰のことかよくわからなかったが、NHKの「お笑い三人組」で活躍していた小金馬さん(当時)のことであることがわかり、寂しい思いが込み上げた。「お笑い三人組」は、調べて見たら、1956年から1966年までテレビ放送されていたようで、まさにテレビっ子としては、最盛期の流行った番組の一つであった。生放送の公開バラエティ番組であったことも今では驚きである。

毎週火曜日夜だったと思うが、ほとんど毎回見ていたので、三遊亭小金馬、一龍齋貞鳳、江戸家猫八の三人組と楠トシエ、桜京美、音羽美子等の共演者も今でも鮮明に覚えている。今では、ほとんどの出演者が亡くなっているので、時代の流れを感じざるを得ない。「お笑い三人組」については、2019年に当時90歳でもまだ現役で活躍していた金馬さんのことを知り、下記の通り、ブログ(2019年12月6日)にも書いていた。お笑いを「ありがとう」と伝えるとともに、ご冥福をお祈りする次第である。

 

「12月5日、BS朝日のお笑い演芸館~10代から90代まで人気芸人集合SP~というタイトルを見て90代の芸人って誰だろうと思い、ずうっと見ていたら、何と三遊亭金馬師匠が90代の芸人として出ていてビックリ。風貌は昔とあまり変わっておらず、とても90才には見えないほど若く矍鑠としており、創作ものの落語をやっていたが、大変面白かった。いまだに現役でやっていることに敬服するばかりである。

今の金馬師匠は長らく三遊亭小金馬としてよく知られていたが、一番馴染みのあったテレビ番組がNHKの「お笑い三人組」であった。調べてみたら、1956年~1966年まで放送されていたようであるが、当時は、毎週火曜日欠かさず見ていた。三人組として、三遊亭小金馬、一龍齋貞鳳、江戸家猫八に、楠トシエ、音羽美子、桜京美がからんでの面白い公開バラエティ番組であった。貞鳳さんと猫八さんと桜京美さんはすでに亡くなられているようであるが、舞台のシーンが目に浮かぶほど懐かしい番組であった。とくに、「八ちゃん、おたまちゃん、うー」というギャグが懐かしく思い出される。もう60年も前のことなのに、鮮明に覚えているからビックリする。

当時は、テレビ創成期でこのようなバラエティ番組が流行っていたが、よく見ていたのは、「シャボン玉ホリデー」「てなもんや三度笠」「夢であいましょう」「光子の窓」等懐かしいものばかり。テレビが白黒からカラーに移っていく頃なので、我々は、まさにテレビとともに大人になっていった感じである。すでにザ・ピーナッツ、藤田まこと、クレージーキャッツはじめすでに亡くなっている人も多く、年月の経過を痛感するが、青春プレイバック、あの時代に戻りたい気がする。」

 

お笑い三人組の懐かしい映像: https://youtu.be/rBIxxYs9Uvg

訃報のNHKニュース(8/27): https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220827/k10013790101000.html

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暇に出された前座

2012年10月07日 07時37分31秒 | 芸人

ドイツ在勤中、落語家さんとお付き合いする機会が何回かあったが、食事を一緒にした時の彼らの話はとても面白く、ためになることが多かった。

その中で、春風亭柳橋師匠(故人)から聞いたたった一言で暇に出された前座の話を紹介すると。。。。

寄席では、前座、二つ目、真打という順番で落語を披露することになるが、当然楽屋入りもその順番となる。楽屋ではお寿司等が用意されており、それをつまんでから舞台に立つことになるが、ある時、前座の一人がお寿司をつまんでいる時に、真打が楽屋に入ってきた。前座は気を使ったつもりで、真打に対し、「師匠、お寿司が残っていますから、どうぞ召し上がってください。」と言ってしまった。その前座は翌日から暇に出されたそうである。

要するに、このお寿司が残り物という印象を与えてしまったことが敗因であった。厳しい上下関係のある落語界で、残り物を真打に提供するなどありえないのである。ちゃんとした前座であれば、こう言わなければならない。「師匠、お寿司がとってありますので、どうぞ召し上がってください。」

なるほどと感心することしばし。。。ものの言い方ひとつで受ける印象が全く違ってくるのである。その話を聞いてから、どんな残り物でも人に勧める時は、「とっておきましたから、どうぞ」と言うことにしている。

皆さんも、たとえ残り物でも人に勧める時は、ものは言いようなので、必ず「とっておきましたので、よかったらどうぞ」と言ってみてください。好感度アップ間違いなしです。
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