浪漫飛行への誘(いざな)い

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浮世絵の魅力

2016年01月25日 22時25分55秒 | 芸術

 

今から約30年前、フランクフルトで勤務していた時、縁あって長野県松本市にある日本浮世絵博物館の協力を得て、浮世絵の展覧会と摺りの実演を行う機会を得た。日本浮世絵博物館の収蔵品は江戸時代の豪商であった酒井家5代200年にわたる「酒井コレクション」が中心となっており、収蔵数ではボストン美術館よりも多いそうである。当時、酒井家は外国での展覧会を精力的に行い、浮世絵の普及を図っていたが、たまたまフランクフルトに立ち寄った際、我々に展覧会の開催がもちかけられ、1988年11月に実現したものである。

浮世絵には個人的には興味はあったものの、当初はドイツ人向けに展覧会を企画するなんてとても実現できそうもないと感じていたが、今から考えるととんとん拍子に話が進み、浮世絵の展示に加え、ドイツ初となる摺りの実演も行うことになった。日本からは、酒井氏と秘書と摺師の3人が来独し、1枚あたり1000万円を超えるような貴重な浮世絵も含め、20~30枚位の浮世絵を展示することになった。あまりにも高価な浮世絵については保険もかけ、毎晩展示終了後金庫に保管する体制をとったほどである。

約2週間の予定であったが、展覧会や実演のことが地元の新聞に掲載されたこともあり、連日多くのドイツ人が来場し、期間を1週間延長することになった。期間中、摺りの実演も何回か行い、多くのドイツが興味を持ったようである。この展示会にあわせ、浮世絵の無料鑑定サービスも行ったが、浮世絵を所有しているドイツ人が意外と多いのにビックリしたものである。

展示品の目玉の一つはあの有名なゴッホが模写したという歌川広重の作品2点の本物の展示であった。「名所江戸百景・亀戸梅屋鋪」と「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」の2点であるが、比較するために、ゴッホの作品のコピーもアムステルダムのゴッホ美術館から取り寄せて比較展示した。

江戸時代の作品と同じものを現代に彫って摺った浮世絵の販売も1枚100マルク(約8000円)程度で行った。印刷したものではなく、江戸時代と同じ手法で実際に彫って、摺ったものなので、それなりに素晴らしい出来ばえの浮世絵であった。展覧会終了後も暫くは販売を継続し、ベルリンの事務所オープンの際にもこれを借用して浮世絵の展示を行った。

酒井家の人たちとは帰国後も継続的にお付き合いをさせてもらっており、1990年には松本の日本浮世絵博物館にもお邪魔する機会を得た。印象的だったのは、関係者以外立ち入り禁止となっている大なき倉庫を見学させてもらい、そこにものすごい数の浮世絵が収蔵されていたことである。特に、大きなつづら数個の中に多数の春画が収蔵されていたことにも驚いた。本物の美しさは表現のしようもないが、酒井氏によると物が物だけに国内で展示する機会がないのが残念であると嘆いていた。海外で展示会をやることは可能だが、日本に持ち帰れなくなってしまうとも言っていた。

酒井コレクションとの出会いから浮世絵についての知識も大分詳しくなってきた。浮世絵の美しさは本物を見るとよくわかるし、ゴッホが模写したくなるのも頷ける。浮世絵は西洋の絵画にジャポニズムとして多大な影響を与えたが、その魅力は計り知れない。浮世絵は江戸文化の最高の傑作であると言えよう。

酒井氏から現代版浮世絵を十数枚いただいたので、今でも我が家のリビングや廊下の壁には歌川広重や葛飾北斎や写楽の作品を飾ってあり、時々作品の入れ替えも行っている。富嶽三十六景や東海道五十三次の風景画や歌舞伎役者から歌麿の美人画までどの浮世絵を見ても心が和み、江戸文化を身近に感じることができる。

写真は、「名所江戸百景・亀戸梅屋鋪」の広重の浮世絵とゴッホの模写 

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アジア各国の連帯の難しさ

2016年01月23日 16時05分58秒 | 旅行

 

現役時代にアジア各国で構成される会議体に何回も参加したことがあるが、アジア内部をまとめるのはいかに難しいかと感じることが多々あった。自分のかかわったスポーツの世界では、加盟国(212の国と地域)は、ヨーロッパ(50ヵ国)、アフリカ(53ヵ国)、アジア(45ヵ国)、北中米(31ヵ国)、南米(13ヵ国)、オセアニア(20ヵ国)という6つのブロックに分かれていたが、異なる人種、宗教が混在するアジアが一番まとまりにくいことを実感したものである。

アジア45ヵ国の中には、仏教国、イスラム教国、旧ソ連の国々(カザフスタン、トルクメニスタン等)が混じっているし、シリア イラク イラン のような紛争国、問題児の北朝鮮、巨大なパワーをふりかざす中国、影に隠れる台湾、日本に対抗心を燃やす韓国、バングラデシュ・ネパール等の貧困国とにかくどうみてもまとまるとは思えないような国々で構成されているのがアジアの現実である。

特に、役員の選挙ともなると票を確保することがなかなかむずかしい。イスラム諸国、旧ソ連諸国、南アジア、東南アジアに東アジアとまとまりをつけるのは至難の技である。アジアの連帯Unityなどスローガンを掲げても現実はかけ離れている。外交という業務の大変さは容易に想像がつく。現役時代に、スポーツという狭い分野であるが、アジアの他の国々の人達と会議でいっしょになったり、食事をしたり、交友する機会を持つことができたのは大変ラッキーであった。

アジア45ヵ国の内、行ったことがあるのは日本を含め、31ヵ国であり、残り14ヵ国となっているが、紛争やらで行けそうもない国がほとんどである。残る14ヵ国は、イラン イラク アフガニスタン パキスタン サウジアラビア 北朝鮮 トルクメニスタン タジキスタン オマーン カタール イエメン モンゴル ブータン 東チモールの14ヵ国であるが、旅行計画を立てられそうなのが、モンゴル ブータン カタール オマーン位で、あとはまず無理であろうと思われる。こう考えると日本という国は天国のような存在で、日本に生まれた我々は皆もっと感謝すべきであろう。 ベッキーの不倫、SMAPの解散騒動とかがやたらテレビや週刊誌を賑わせているが、日本はつくづく平和な国であると感じる今日この頃である。

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しあわせはいつもじぶんのこころがきめる

2016年01月05日 23時54分37秒 | 人生
我が家のトイレには「相田みつを」の日めくりカレンダーがある。その6日は、「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」であり、一番好きな言葉である。偶然にも自分の誕生日も6日なので、誕生日を含めて年に12回ほどトイレで好きな言葉を拝むことができる。

この日めくりカレンダーが大変気に入っているので、自分のHPのトップページにも掲載している。HPに時計の要素を組み入れ、日付が変わると自動的にカレンダーも変わるようになっている。自分の能力では無理なため、この仕掛けは子供にお願いしてHPに組み込んでいる。

常に「しあわせとは何か?」などと考えているわけではないが、この言葉はつくづく真理をついていると感じている。どんなにお金があっても、どんなに幸せそうに見えても、本人が幸せと感じていないならば、それは幸せとは言えないのである。また、逆にどんなに貧しくとも、回りからどんなに不幸せに見えても、本人が幸せと感じていれば、それは幸せと言えるのである。

100才まで生きた人と若くして亡くなった人のどちらが幸せか、子供や孫に恵まれた人と子供が授からない人のどちらが幸せか、健常者とハンディを持った人、スポーツのトップ選手と三流選手、美人とそうでない人、他の人と自分とを比べたらきりがないが、一概にどちらが幸せだと言い切ることはできないのである。どんなに恵まれていてもその人が幸せと感じていなければ、幸せであるとは言えない。まさにいつも自分のこころが決めるのである。

自分の場合、今海外旅行100カ国をめざしているが、海外旅行に一度も行ったことがない人を不幸せだと思ったこともないし、200カ国を旅行したことがある人が自分より幸せだと思ったこともない。自分の価値判断として、それでよしとする「こころ」があれば、それでいいのだと思う。100カ国制覇を自慢したいとも思わないし、自分なりのささやかな幸せが実現できれば、それだけで十分である。

すべての点で、上を見たらキリがないし、下を見てもキリがないのである。自分なりに努力し、頑張り切ることができれば、恐らく自分のこころは幸せと決めてくれるのではないかと確信している。どうしたら、自分のこころが幸せと感じてくれるかがポイントになるであろう。そういう意味でどんなことにでも「小さな幸せ」を感じることができる心があれば、それは神さまからの最高の贈り物である。

竹内まりやの歌ではないが、20代、30代、40代、50代、60代と「人生の扉」を開け続けてきた今日、扉を開けるたびに自分のこころが「しあわせだった」と決めてくれるならば最高の人生を送ることができるのではないかと感じている今日この頃である。

竹内まりやの「人生の扉」も歌詞を味わって是非一度聴いてみてほしい。


  
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終活としてのデジタル自分史の作成

2016年01月02日 22時23分19秒 | 人生
最近は、自分史作りがブームになっている感もあるが、今年に入ってついに終活の一環として自分史の作成に手を染め始めた。自分史フェスティバルや自分史作成セミナーに参加したことがあるので、自分なりに自分史なるものの大体のイメージは持っている。自分史を活字にして本を自費出版するケースが多いが、自分の場合は、すでに自分のホームページを持っているので、そこに自分史のページを設けることにした。

まずは、自分史年表の作成を試みている。生まれてから現在までの自分自身の出来事を年度ごとに整理し、その時の年齢を付して年表にする。個々の出来事については、それに関連する写真をスライドショーにして、それにふさわしい音楽を付けてYouTubeにアップする。個人的な内容なので、YouTubeはもちろん限定公開扱いとして、特定の人しか見られないようにする。また、家族が入っている写真については、さらにパスワードを付けるようにしている。また、毎年、我が家の十大ニュースなるものを年末に作成しているので、それも整理して、自分史の一部として組み込むことを予定している。

幼少時代の写真は、節目写真館のおかげで、すでにデジタル化されているので、個々の写真をスライドショーにしてわかるものはその時の年齢や説明書きを付けている。昔撮った写真はデジタル化しておくといろいろ活用できるので、まだやっていない人はすぐにでもデジタル化することを薦める。写真のバックに流れる音楽は、自分の好みに合わせ、幼少時代は、H2Oの「想い出がいっぱい」と竹内まりやの「人生の扉」を選び、大学時代は、チューリップの「青春の影」を選んでいる。

社会人以降は、会社における異動の年表や出来事の整理、趣味の卓球やテニスのイベントの整理、旅行アルバムの整理が中心となっている。旅行アルバムについては、写真に説明書きを付け、旅先にちなんだ音楽を加え、スライドショーにして、すでに200本以上をYouTube にアップしているので、それを流用している。特に、定年後だけでも海外旅行に40カ国も行っているので、最近はどうしてもは、旅行史が中心となっている。

書籍による自分史と違って自分史の出来事にふさわしい音楽が加わるとよりいっそう感動的になり、鮮明に過去の想い出が甦ってくる。作成しながら、音楽の力を痛感している。懐かしの音楽を聴くだけで、青春がプレイバックする。音楽で綴る自分史は感動的なものがあるので、自分史の作成を考えている人は、単に本にするのではなく、デジタル化して残すことをお薦めする。
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